日本の崩壊は“必然”だったのか?
はじめに:なぜ「氷河期世代」が日本の未来を左右するのか?
「就職氷河期世代」――それは、1993年~2005年ごろに社会に出た世代を指します。
バブル崩壊後、日本経済が沈みゆく中、企業は採用を激減。
その結果、多くの若者が **「新卒」という人生最大のチャンスを失った」**のです。
そして今、この世代は40代後半から50代前半に差し掛かり、
日本社会の「中核」になるはずだった立場にいます。
しかし、まともにキャリアを築けなかったこの世代を社会が見捨てたツケが、今、露骨に噴き出しているのです。
1. 就職氷河期世代とは何だったのか?
◉ バブル崩壊後の「雇用崩壊」
- 1991年:バブル経済崩壊
- 1993年~:企業が新卒採用を大幅カット
- 正社員→派遣・契約社員・アルバイトが主流に
この時代に社会に出た若者たちは、正社員の椅子に座れず、不安定な雇用形態でキャリアのスタートを強いられました。
◉ 社会の無関心と自己責任論
「就職できないのは本人の努力不足」
「正社員じゃないのは甘え」
メディアも政治も、社会全体が彼らを「負け組」と切り捨てたのです。
2. 見捨てられた代償:何が起きているか?
▷ ◉ 若年期:キャリア形成に失敗
- 正社員になれない
- 経験を積めない → 転職でも不利
- 年収は上がらない → 結婚・出産が困難に
→ 結果、少子化の主因世代となり、日本の人口減少に拍車をかけた。
▷ ◉ 壮年期:非正規のまま40代・50代に突入
- 雇用が不安定
- 社会保険や年金が満額もらえない
- 持ち家もなく、貯金も少ない
→ 結果、中年フリーター・貧困層が爆発的に増加。
▷ ◉ 老年期(予測):支援がなければ“下流老人”に
- 賃金も年金も少ない
- 子どもも少なく、介護を頼れる親族なし
- 生活保護に頼る高齢者が激増する可能性
→ 社会保障制度が破綻するリスクが現実化。
3. なぜ日本はこの世代を救済しなかったのか?
◉ 政府の「その場しのぎ政策」
氷河期世代への支援は、2019年ごろからようやく話題に。
しかし――
- 一部の就職支援事業のみ(予算も小規模)
- 正社員歴のない40代が対象外になるケースも
- 「3年間限定」など時間切れ政策ばかり
根本的な構造改革は行われず、本気で支援する姿勢が見えなかった。
◉ 企業の「使い捨て体質」
- 若くて安く雇える新卒ばかりを優遇
- 中途採用や再教育にコストをかけない
- 非正規を雇い続けることで利益を確保
→ 氷河期世代は**“都合のいい労働力”としてしか扱われなかった。**
4. その結果、今起きている“崩壊”とは?
▷ 働き手不足
- 本来中核となる40~50代の労働力が“経験不足”
- 正社員としての責任を担えない
- 若者も少なく、穴埋めができない
→ 社会インフラ、物流、福祉、人材育成すべてが崩れていく。
▷ 社会保障の崩壊
- 年金納付額が少ない世代が一斉に高齢化
- 生活保護受給者が急増の懸念
- 支える若年層の数はすでに限界
→ “支える人”より“支えられる人”が多い国に。
▷ 消費・経済の縮小
- 所得が低いため消費しない
- 車も家も買わない、結婚しない、子どもも持たない
- 市場が“育たない”まま衰退する
→ 経済回復の基盤が失われた。
5. このツケを払うのは誰か?
答えは明白です。今の若者世代、そして未来の世代です。
- 崩壊した年金制度の尻ぬぐい
- 介護・医療リソースの逼迫
- 税と保険料のさらなる引き上げ
それでも、“あの時切り捨てられた氷河期世代”は、
社会の中で、声を上げることすら許されなかったまま老いていくのです。
おわりに:「崩壊」は偶然ではない、“当然の結果”だった
日本の崩壊は、誰にも予測できなかった未来ではありません。
氷河期世代が若かったあの時代、手を差し伸べるチャンスは何度もあったのです。
しかし、政治も経済も社会も――「見て見ぬふり」を決め込んだ。
そして今、“あの時切り捨てた”人たちが、そのまま社会の弱点になった。
それは偶然ではなく、当然の帰結なのです。
では、今からでも間に合うのか?
- 氷河期世代の再雇用と社会保障の再設計
- 中高年に向けた再教育・キャリア支援の強化
- 若者世代と連携できる仕組みづくり
手遅れではないかもしれません。
ただし、“本気で、今すぐ”に動かなければ、
この国の崩壊は止められません。