何のスキルも身につかず、使い捨てられる現状とは
■ 「公務員は安定」の幻想?区役所勤務のリアル
「区役所=安定・ホワイト・スキル不要で楽」というイメージ、ありませんか?
確かに、**正規職員(公務員試験合格者)ならばある程度の安定性があります。
しかし、実は区役所の多くの業務は非正規職員(会計年度任用職員・臨時職員)**が支えており、
彼らの待遇や労働環境は「ブラック企業顔負け」とも言われています。
■ 具体例:非正規職員の現実
◉ 例①:会計年度任用職員(30代女性・元事務補助)
- 月給:約16万〜18万円(残業なし)
- 賞与ありといっても数万円レベル
- 雇用期間は1年ごと。更新されない場合は即失職
- 昇給なし、福利厚生も正規より大幅に劣る
「正規職員と同じ窓口業務をやってるのに、給料は半分以下。責任も重いし、クレーム対応もするけど“補助員”だから評価もされない」
◉ 例②:住民課・窓口業務(40代男性・元臨時職員)
- 市民対応:1日100人超え
- 書類手続きミスが許されない業務
- 派遣契約なので3ヶ月単位で終了する可能性あり
「研修も十分にないまま窓口に立たされて、住民に怒鳴られる。自分の判断じゃ何も決められないのに、責任は問われる」
■ スキルが身につかない構造的な問題
民間企業なら、業務改善提案やプロジェクトのリーダーなどを通じてスキルアップが可能ですが、区役所の多くの仕事は、
- 決まったマニュアル通りに処理する「定型業務」
- 上司の承認がないと判断ができない
- ExcelやWord以外のITスキルはほぼ不要
このため、「1年続けても転職に活かせるスキルが得られない」という声が多く聞かれます。
■ 精神的にもキツい、役所仕事のプレッシャー
意外と知られていないのが、住民対応のメンタル負担。
- 生活保護や税金関連の窓口では、「生活がかかっている」「感情的な怒り」などが日常的にぶつけられる
- マニュアルでは対応しきれない「グレーゾーン」も多く、板挟み状態に
「毎日クレームと書類処理で疲弊。帰宅後は何もする気が起きない」(20代女性)
■ なぜ改善されない?「使い捨て前提」の人員構成
多くの自治体では、財政削減の名目で人件費を抑えるために、
- 正規職員の採用は最小限に
- 実務は安価な非正規や派遣に丸投げ
- 組織的に「使い捨て可能な人材」を前提に組まれている
これにより、毎年入れ替わる非正規職員が業務の最前線を担っており、組織の記憶が失われやすく、ミスや混乱の温床にもなっています。
■ 一見“安定”でも、人生設計ができない現実
月収16〜18万円、1年更新、昇給なしの環境では、
- 結婚・出産・ローンの計画を立てられない
- 正職員の採用試験に受からない限り、未来が見えない
- 長く勤めても退職金なし・年金もごくわずか
「子どもを育てるどころか、自分の生活すらギリギリです」(40代女性)
■ 「区役所で働いてる=勝ち組」ではない
確かに正規公務員になれれば安定はしますが、
今や自治体職場の過半数を占める非正規職員の現実は、まったく別のもの。
見た目は「役所の職員」でも、
- スキルが積めず
- 将来も不透明で
- 心も体も削られていく
そんな現状が、日本中の役所で“日常的に”起きているのです。
■ まとめ:区役所の仕事は「公務員=安泰」ではない時代へ
よくあるイメージ | 実際の現場 |
---|---|
公務員=楽・安定 | 非正規だと低賃金・不安定・重責務 |
スキルがなくてもOK | スキルが積みにくい=転職困難 |
役所だから丁寧に育ててもらえる | マニュアルで即戦力化。研修少なめ。 |
■ 本当に必要なのは、“使い捨て”にしない仕組み
- 非正規でもキャリア形成ができる制度
- 給与・福利厚生の底上げ
- 長く働けるポストの新設
- 「人間扱いされている」と感じられる環境づくり
今や区役所に限らず、こうした「見えにくいブラック体質」が公共サービスの根幹を揺るがす時代。
その変化は、**市民の理解と声(そして選挙)**から始まるのかもしれません。