日本では「働き方改革」や「生産性向上」という言葉が政府や企業から盛んに叫ばれていますが、それを聞いて違和感を持ったことはありませんか?

実際には「定年後も働き続けなければならない社会」で、なおかつ「少ない人数で効率よく成果を出せ」と求められている――そんな現場のリアルが広がっています。

この記事では、「死ぬまで働く日本人」に“生産性の向上”を求めることがいかに現実離れしているかを、具体例とともに掘り下げて解説します。


■ 「死ぬまで働け」が前提の社会になっている日本

まず前提として、日本はすでに「定年=引退」ではなくなっています。

✅ 再雇用制度が常態化

60歳を超えた人が嘱託やアルバイトとして働き続けるのは当たり前。
2023年には70歳以上の就業者数が1000万人を突破しました(総務省統計局)。

✅ もはや“老後”は幻想に

物価上昇、年金制度の不安、医療費負担の増加などが重なり、「老後は働かずにのんびり」はもはや過去の話。
ある調査では、60代の半数以上が「働けるうちは働く」と回答しています。


■ 生産性を高めるどころじゃない、現場の疲弊

▼ 例1:介護職(兵庫県・61歳・女性)

「人手が足りず、毎日シフトに穴があく。60代でも夜勤が当たり前で、体力的にはギリギリ。でもやめたら生活ができないから、働くしかない。」

生産性どころか、人員不足を穴埋めするのが精一杯。

▼ 例2:中小企業の製造業(埼玉県・35歳・男性)

「上司が定年後も残っていて、新しいやり方が通りにくい。機械導入や自動化の話も、『昔ながらのやり方』で止まる。」

新しい生産性向上策を導入できない“高齢化と保守性”の壁。


■ 海外と比較すると、日本は「時間」でしか評価されない

◆ 欧州諸国

  • 成果主義が浸透:成果が出れば短時間勤務でも高評価
  • 定時退社が常識:働きすぎはむしろ管理ミスと見なされる

◆ 日本

  • 「頑張ってる感」「遅くまで残ってる姿勢」で評価されやすい
  • 結果として、長く働いても生産性が低いという矛盾が発生

■ 生産性を追求できない日本の構造的な問題

問題内容
高齢化高齢者が第一線で働かざるを得ず、IT導入や改革が進まない
給与体系年功序列で、成果が正当に評価されづらい
組織文化無駄な会議、根回し、ハンコ文化などが残る
精神論「やる気で乗り切れ」「気合で何とかなる」的発想が根強い

■ 結論:「死ぬまで働け」×「もっと効率よく」は無理ゲー

もはや日本は、
☑ 長く働かなければ食べていけない
☑ でも長く働くと疲弊し、生産性は下がる
☑ それでも「効率よく成果を出せ」と言われる

という矛盾の迷宮に迷い込んでいます。

本来、**生産性を高めるためには「短く・集中して・頭を使って働く」**べきなのに、
長時間労働・疲労蓄積・非効率な職場文化では、生産性が上がるはずがありません


■ どうすればこの状況を変えられるのか?

1. 働く時間を減らす決断

→ 生産性向上には「まず時間を減らす勇気」が必要

2. 働かなくても生きていける制度設計

→ ベーシックインカムや年金の抜本改革も議論すべき

3. 成果重視の評価制度にシフト

→ 「長くいる人が偉い」から、「結果を出す人が報われる」へ


■ 最後に:疲れているあなたへ

「何のために働いているのか?」
「いつまで働けば終われるのか?」
そんな問いに、明確な答えを持てないまま働き続けている人が、日本にはあまりに多いのです。

「働き方を変える」のは、制度だけでなく価値観です。
私たち一人ひとりが、「この働き方、おかしくないか?」と声を上げることから、未来は変わり始めます。

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