「身を切る改革」を掲げる維新の候補者にとって、最も痛いところを突かれた形です。選挙戦の最中、奥下議員の演説会場では、通りがかりの有権者や批判層から、収支報告書に記載された「不適切な支出」について具体例を挙げて問い詰められるシーンが目立っています。
1. キャバクラ疑惑:政治資金で「夜の街」へ
事の発端は、奥下議員の資金管理団体「奥下たけみつ後援会」の収支報告書です。
- 具体例: 2023年に、赤坂のキャバクラやラウンジなどでの飲食代として、合計約12万6,500円を政治資金から支出していたことが発覚しました。
- 奥下氏の釈明: 「急きょ呼ばれた場所がそこだった」「陳情や要望を聞く意見交換の場だった」と説明。さらに記者会見では、**「ポケットマネーでやるには限界があった」**と語り、これがさらに火に油を注ぎました。
街頭での追及シーン: 演説中、聴衆から「俺たちの税金でキャバクラに行くのが『身を切る改革』か!」「ポケットマネーが足りないなら行くな!」と厳しいヤジが飛び、奥下氏が苦渋の表情で「不適切だったとして返金手続きを行っている」と弁明に追われる場面が繰り返されています。
2. 「国保逃れ」疑惑:党全体の不祥事が飛び火
奥下氏個人だけでなく、維新の党全体で浮上している「国保逃れ(社会保険未加入)」問題も、街頭での追及を激化させています。
- 問題の背景: 維新の複数の議員事務所において、本来加入すべき社会保険に秘書を加入させず、国民健康保険(国保)を支払わせることで、事務所負担の社会保険料を浮かせていたのではないかという疑惑です。
- 具体例: 同党の遠藤敬国対委員長などが「秘書給与ピンハネ・国保逃れ」で税金還流疑惑を報じられるなか、奥下氏も「あなたの事務所は適正なのか?」と詰め寄られる事態に。
- 有権者の怒り: 働く世代が重い社会保険料に苦しむなか、政治家がその支払いを免れようとする姿勢は、下町や現役世代の有権者にとって最も許しがたい裏切りとして映っています。
3. なぜ「大阪7区(吹田・摂津)」でここまで揉めているのか?
奥下氏の地盤である大阪7区(※東京29区は以前の対立候補の話題でしたが、奥下氏は大阪7区選出)は、維新の牙城(がじょう)です。しかし、今回の選挙ではこれまでにない変化が起きています。
激戦の背景:
- 「身を切る改革」への不信感: キャバクラ代を公費(政治資金)で賄っておきながら「自分たちは身を切っている」という主張が矛盾しているという批判。
- 吉村代表との温度差: 吉村洋文代表は「普通に考えておかしい」と奥下氏を突き放すコメントを出しましたが、党としての厳格な処分には至っておらず、有権者からは「身内に甘い」と見られています。
- ライバルの追撃: 自民党や野党各党が、この「キャバクラ・国保問題」を維新の体質問題として徹底的に攻撃材料にしています。
まとめ:有権者は「言葉」ではなく「履歴」を見ている
奥下議員が街頭でどれだけ「改革」を叫んでも、一度記録された収支報告書の事実は消えません。
「ポケットマネーの限界」という言葉は、物価高に苦しむ有権者には「特権階級の言い訳」にしか聞こえません。2月8日の投開票日に向け、奥下氏がこの不信感を払拭できるのか、あるいは下町の厳しい審判が下されるのか。
維新の「看板」そのものが問われる、極めて象徴的な戦いとなっています。