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北海道積丹半島に位置する積丹町において、最近、クマの出没が相次いでおり、地域住民の安全をめぐる重大な課題が顕在化しています。ところが、状況の中で地元猟友会による駆除出動要請が 1カ月以上にわたり拒否されている という事態に発展。これには同町議会副議長の 海田一時 氏の発言・対応が引き金となっており、町のクマ対策と地域自治の在り方に大きな波紋を投げかけています。この記事では、「クマ出没の現状」「出動拒否に至った経緯」「関係者の主張・影響」「今後の課題・地域への影響」を整理して解説します。


1. クマ出没の現状

積丹町ではヒグマおよびツキノワグマの出没が頻繁に報告されています。特に最近では、箱わなや目撃情報が増えており、町民・観光客ともに「人里にクマが近づいている」状況が顕著になってきました。
例えば、ある報道では、先月27日に副議長の自宅裏に設置された箱わなに体重284 kgものヒグマがかかったという記録があります。日刊ゲンダイDIGITAL+1
このような状況では、農作物被害、人的被害、観光客の安全など、様々なリスクが同時に顕在化します。


2. 猟友会による駆除出動要請と拒否の流れ

このようなクマ出没に対して、地域の猟友会(例えば町内・近隣のハンター組織)は駆除・捕獲を行う役割を担っています。しかし積丹町では、猟友会が駆除出動を拒否するという異例の状況が続いています。背景には次のような流れがあります。

  • 先述の箱わなでの大型ヒグマ捕獲を契機に、猟友会メンバーが現場に駆けつけた。日刊ゲンダイDIGITAL+1
  • その際、現場にいた副議長・海田氏と猟友会メンバーとの間でトラブルが発生。報道によれば、ハンターが「誰ですか?」と問うと、副議長は「誰にモノを言ってるか」などと言い返し、さらに「こんなに人数が必要なのか。金もらえるからだろ」「議会で予算も減らすからな。やめさせてやる」などと述べたとされます。日刊ゲンダイDIGITAL+1
  • この発言を受け、一部猟友会員から「駆除をやりたくない」「今後町側の対応が信頼できない」という声が上がり、結果的に猟友会が町への駆除出動要請を拒否する通達を出すに至ったという流れです。日刊ゲンダイDIGITAL

つまり、クマ対策という公共の安全活動が、地方自治体内部の人間関係・役割分担・信頼関係の崩壊によって停滞している構図といえます。


3. 各関係者の主張と立場

副議長・海田一時氏の立場

海田氏は報道されたインタビューで「僕は悪くない」と発言しており、自身の発言を撤回・謝罪しない姿勢を示しています。youtube.com+1
また、「自宅裏にクマを捕獲されたことに対して、関係者の説明が十分でなかった」「ハンターの活動が適切に管理されていない」などの不満を示していたといいます。日刊ゲンダイDIGITAL

猟友会・ハンターの立場

猟友会側は「町側・議会側との信頼関係が崩れた」「安全確保・予算・運営面で不透明感がある」として、駆除活動への協力を停止するに至りました。駆除現場では重労働・危険作業であるにもかかわらず、適切な体制・負担軽減がなされていないとの内部疲弊の声もあります。日刊ゲンダイDIGITAL

町・自治体の視点

積丹町の行政機関としては、クマ出没対策を急務としながらも、駆除・捕獲・住民への注意喚起といった実務を担うハンターとの協力関係が揺らいでいる状況を抱えています。駆除の遅れ・出動拒否は、住民の安全確保と町の信頼性に直接影響します。


4. 影響と問題点

この「駆除出動拒否」がもたらす影響・問題点は多岐にわたります。

  • クマによる被害の拡大リスク:駆除・捕獲活動が停滞すれば、人里に近づくクマを早期に制御できなくなる可能性があります。
  • 住民・観光客の安全感の低下:積丹町は観光地としても知られる地域であり、クマの出没報道と行政・猟友会の協力関係不全は、町のイメージや観光需要にも影響を及ぼしかねません。
  • 地方自治・安全対策の信頼崩壊:議会・行政・地域住民・ハンターという複数の主体が協働してこそ防災・安全体制は機能しますが、今回のような対立構図は自治体の対応能力に疑問を投げかけます。
  • ハンター側のモチベーション低下・負担増:駆除活動が負担の割に正当に評価・支援されないと感じると、協力が得られにくくなります。実際、記事では猟友会側が「重すぎる負担で現場が疲弊している」と指摘されています。日刊ゲンダイDIGITAL

5. 今後の課題と対策に向けて

この積丹町の事例から、クマ出没対策を地方自治体が実効的に行うためには、以下のような課題・改善策が不可欠です。

  1. 役割と責任の明確化
     議会・行政・猟友会・住民それぞれの役割を明確にし、駆除・捕獲・注意喚起・被害報告という流れを「誰が何をいつ行うか」で整理しておくこと。
  2. 信頼関係の回復と協働体制の構築
     ハンター(猟友会)と行政・議会との間で定期的な意見交換・協議の場を設け、双方の懸念・期待を共有すること。今回のような言動・対立が出る前に「対話の場」が設けられていたかが問われます。
  3. 駆除活動への支援・環境整備
     駆除・捕獲は危険かつ重労働です。適切な予算、装備、作業体制、安全管理、報酬制度などが確保されているかを点検する必要があります。
  4. 住民・観光客への情報提供と注意喚起
     クマ出没情報、対処方法、出没時の連絡ルートなどを住民・観光客にわかりやすく提供すること。駆除体制の停滞があっても、住民自らが注意できる環境を整えておくことが重要です。
  5. 被害/出没データの可視化と予防的施策
     どの場所・何時に出没が多いか、どのような条件でクマが人里に出るか、などをデータとして集め、餌場の管理(農作物、防護柵、生ごみ管理、餌付け阻止など)や生息域の把握を進めるべきです。

6. 最後に

積丹町で起きているこの事案は、単なる「クマが出た」「駆除を始めないと」という問題を超えて、地域の安全を支える仕組み・信頼・協働の在り方そのものを問うものです。議員の発言・態度が地域ハンターとの関係を悪化させ、その影響が駆除活動の停滞という形で現れた今回のケースは、自治体・地域社会にとって大きな警鐘といえます。

住民・観光客の安全を確保するためには、クマ出没という「自然リスク」だけでなく、「人・組織・制度」の側面にも注目することが不可欠です。積丹町がこの危機をどう乗り越えていくかは、他の地方自治体にとっても重要な先行事例となるでしょう。

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