SNS上で拡散された数十秒の動画。そこには、学校という安全であるべき場所で行われた、凄惨な暴力の記録が残されていました。
1. 動画の内容:一方的で過激な暴行
拡散された映像には、校内とみられる廊下で、一人の男子生徒が抵抗できない相手に対して以下のような暴行を加える様子が映っていました。
- 馬乗りでの殴打: 相手を地面に組み伏せ、顔面や頭部を何度も拳で殴る。
- 後頭部への蹴り: 倒れ込んだ被害生徒の背中や、極めて危険な**「後頭部」**を容赦なく蹴り上げる。
- 周囲の反応: 撮影者が止める様子もなく、むしろ「コンテンツ」として記録している異様な空気感。
これらの行為は、もはや「喧嘩」や「いじめ」の枠を超え、**法的な「暴行・傷害事件」**として扱われるべきレベルに達しています。
2. 市教委と学校の対応:警察への情報提供と会見の実施
事態を重く見た大分市教育委員会は、迅速な調査と並行して以下の対応を発表しました。
- 警察との連携: 動画の内容から犯罪性の疑いがあるとして、大分県警に情報を提供。未成年者であっても、重大な権利侵害には法的措置を視野に入れた対応が取られています。
- 全校調査の実施: 全生徒へのアンケートや聞き取りを行い、動画以外にも潜在的な余罪やいじめがなかったかを徹底調査。
- 記者会見の実施: 隠蔽を疑われないよう、事実関係を整理した上で公開の場での説明を決定しました。
3. 具体例:なぜSNS拡散が「最悪の二次被害」を生むのか
今回の件では、動画が拡散されたことで、解決を難しくする複数の具体例が生じています。
- 特定班による「ネット私刑」: 加害生徒とされる人物の名前や住所、部活動が特定され、無関係な生徒や家族にまで誹謗中傷が及ぶ事態。
- 被害生徒の尊厳破壊: 「殴られている姿」が永遠にネットに残り続ける(デジタル・タトゥー)ことで、被害生徒の心の傷が癒えるのを阻害します。
- 模倣犯のリスク: 「動画を撮れば注目される」という誤った認識が他の生徒に広まる懸念。
4. 専門家が指摘する「学校の限界」と「警察の介入」
これまでの学校現場では「自浄作用」が重んじられてきましたが、今回のようにSNSで証拠が残るケースでは、以下の変化が起きています。
「これまでは『指導』で終わらせていたことが、動画という動かぬ証拠によって、即座に『刑事事件』として扱われるフェーズに入った。学校だけで抱え込まず、即座に法執行機関と連携することが、結果的に生徒全員を守ることにつながる」(教育評論家)
まとめ:私たちが注視すべき点
大分市教委が今後行う記者会見では、**「なぜ校内でこれほどの暴力が許されたのか」「教師の監視体制はどうなっていたのか」**という点が厳しく問われることになります。
暴力は絶対に許されません。同時に、ネット上で正義感に駆られた私刑を行うことも、別の加害を生むだけです。今は、市教委と警察による厳正な調査と、被害生徒への迅速かつ継続的な心のケアが何よりも優先されるべきです。