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2024年8月、日本で初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されてから、1年が経ちました。これは、通常の地震情報とは異なり、南海トラフ巨大地震の発生確率が一時的に高まったときに気象庁が発表する特別な情報です。

昭和東南海地震(1944年)や昭和南海地震(1946年)の発生から約80年。南海トラフ巨大地震の発生間隔は90〜150年とされており、現在は歴史的にも切迫性が高い時期に入っています。


臨時情報とは何か?

「南海トラフ地震臨時情報」は、以下のようなケースで発表されます。

  • 南海トラフの想定震源域の一部で、通常より大きな地震が発生し、巨大地震の引き金となる可能性がある場合
  • プレート境界の滑り(ゆっくりすべり)が観測され、巨大地震発生リスクが高まった場合

例えば、2024年8月の初発表時は、紀伊半島沖でマグニチュード7.1の地震が発生。その震源が南海トラフの西側領域にかかっており、政府は1週間程度は大きな地震の可能性が通常より高まったと警戒を呼びかけました。


過去の南海トラフ地震と連動事例

南海トラフ巨大地震は、東西の震源域が連動して発生することが多く、短期間で複数の大地震が起きた歴史があります。

  • 昭和東南海地震(1944年):三重県沖を震源に発生、死者・行方不明者約1,200人。
  • 昭和南海地震(1946年):わずか2年後、高知県沖を震源に発生、死者・行方不明者約1,300人。

さらに江戸時代の**安政東海地震(1854年)安政南海地震(同年)**では、わずか32時間差で連続発生しました。こうした事例からも、「1回地震が起きた後に、別の領域でさらに巨大地震が発生する」パターンは十分あり得ます。


「いつ起きてもおかしくない」今の状況

政府の地震調査研究推進本部による最新評価では、今後30年以内に南海トラフ巨大地震が発生する確率は70〜80%とされています。これは日常生活に置き換えると、「毎日くじを引いて、当たれば即大地震」という状態が数十年続いているようなものです。

特に2023年以降、静岡県から四国沖にかけてゆっくりすべりが複数回観測されており、プレート境界のひずみ解放が近づいている可能性が指摘されています。


今できる備えの具体例

  1. 家具・家電の固定:震度6強以上では未固定家具は高確率で転倒。死亡原因の3割が家具転倒による圧死。
  2. 最低3日分の備蓄:水1人1日3リットル×3日分、非常食、常備薬、モバイルバッテリーなど。
  3. 避難経路の確認:津波避難ビルや高台までの徒歩時間を実測しておく。
  4. 地域防災計画の把握:自治体が公開しているハザードマップを印刷しておく。
  5. 家族間の安否確認ルール:LINEや災害伝言板(171)の使い方を全員で練習。

まとめ

「臨時情報」が出るたびに不安になる人も多いですが、実はその時点ではまだ猶予があることも多いのが現実です。
大切なのは、「臨時情報が出てから準備する」ではなく、平時から備えを整え、情報が出たら即行動できる状態にしておくことです。

昭和南海地震から80年、次の発生は歴史的にも十分に近づいています。防災は「そのうちやろう」ではなく、「今日からやる」。それが命を守る最大のカギです。

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