1. 法的観点:勤務中の居眠りは「職務怠慢」として懲戒対象になり得る
労働契約法と職務義務違反
- 労働契約法第3条では、労働者に「職務に専念する義務」が課されています。
- 勤務時間中に業務と無関係に熟睡する行為は、**「職務専念義務違反」**として評価される可能性があります。
就業規則上の位置付け
多くの企業の就業規則には以下のような条項があります:
- 「勤務態度不良」
- 「業務命令違反」
- 「会社の信用を損なう行為」
これらに該当する場合、懲戒処分(減給・戒告・けん責・出勤停止・降格・解雇)」が可能です。
2. 懲戒処分の実例
事例1:常習的な居眠りで「けん責処分」
ある製造業では、業務時間の30%以上で居眠りしていた社員が「けん責処分」と減給を受けたケースがあります。
- 根拠:勤務態度不良・業務命令違反。
- 決め手:複数回の注意記録と、タイムカードの照合で勤務時間中の居眠りを証明。
事例2:公共団体職員が「戒告」処分
地方自治体の例では、勤務中に机で居眠りを繰り返した職員が戒告され、昇給が数年停止しました。
- 公務員の場合、「職務専念義務違反」に厳しい規律があるため迅速に処分された例です。
3. 労基署や人事部への正式報告ルート
(1) 証拠収集が必須
- 日時・時間帯・居眠りの様子を記録。
- 業務支障の具体例(電話未対応、顧客クレーム、会議進行妨害)をメモ。
- 周囲の証言や複数人の記録が有力。
(2) 相談ルート
- 直属の課長・部長に報告(ただし放置されている場合は次段階へ)。
- 人事部・総務部・コンプライアンス窓口への正式相談。
- **匿名通報制度(内部通報)**がある会社なら安全に報告可能。
4. 労働環境改善の視点
居眠り係長は単に本人の怠慢だけでなく、職場全体の管理不行き届きの表れでもあります。
実務的な改善策
- 業務の見える化:係長の担当業務を明確にし、進捗状況をチームで共有。
- 人事評価の透明化:勤務態度を査定項目に明記。
- 管理職教育:課長クラス以上に「注意・指導義務」を再認識させる。
5. それでも改善されない場合の最終手段
(1) 労働基準監督署への相談
- 居眠りによって労務管理が形骸化し、勤務実態に乖離がある場合、労働基準監督署の相談対象になり得ます。
- 特に「不労所得状態(寝て給与を得ている)」が常態化していると、内部統制不備として調査が入るケースも。
(2) 弁護士への相談
- 証拠を持って、ハラスメントや不当な労務負担として法的助言を得る。
- 弁護士書面による社内通知があると、企業は一気に動くことが多いです。
6. 実際に成功したケース
- IT企業A社:複数社員が匿名通報→人事調査で「勤務中の居眠り常態化」が確認され、係長を降格。
- メーカーB社:業務記録とメール証跡を提出→業務改善指導が入り、係長が配置転換。
- 商社C社:労基署に相談→労務監査が入り、勤務態度管理が厳格化。
まとめ:最も効果的なのは「記録+複数人の声」
- 感情的に注意するよりも、記録に基づく組織的報告が有効。
- 懲戒規定や職務義務違反の視点を持ち、人事や法的ルートを通して対応するのが現実的です。
- 「放置」が一番危険。職場全体のモラル低下につながり、最終的には真面目な社員が損をします。