はじめに
「国がなんとかしてくれる」「政治が動けば変わる」
――そんな淡い期待を、日本人の多くがどこかで抱いています。
しかし現実には、子育ても老後も、物価も税金も、何ひとつ「政治がうまく解決した」例など、ほとんど見当たりません。
それでもなお、日本人は「きっと誰かが助けてくれる」と思い込んでいる。
この“依存と誤解”こそ、今の日本の問題の根っこにあるのではないでしょうか。
今回は、日本人が抱える政治への過信と、その甘さが生む現実の弊害について、具体例を交えて解説します。
1. 「政治がどうにかしてくれる」幻想の根深さ
日本では長らく、「お上(おかみ)=政府」が国民を守ってくれるという意識が根付いてきました。
これは戦後の高度経済成長期、福祉制度が機能していた時代に成立していた価値観です。
しかし、令和の時代にその“信仰”はもはや通用しません。
具体例:
- 年金問題
→「老後は年金で安心」は幻想。
→ 厚労省も「老後資金2,000万円が必要」と明言(2019年報告書)
→ それでも多くの高齢者が「なんとかなる」と現実を直視せず - 子育て支援
→ 岸田政権が掲げた「異次元の少子化対策」、実際は“支援金”や“保育のバウチャー”で対応する程度
→ 若い夫婦の声:「保育園も入れない、学費も高い、それで“異次元”?」 - 災害対応
→ 能登半島地震(2024年)では支援物資が届かず、避難所環境も劣悪だった
→ 住民の声:「国が助けてくれると思ってたけど、全然来なかった」
このように、「政治が守ってくれる」という幻想は、期待を裏切り続けているのが実情です。
2. 日本人の“自助力”が世界と比べて低い理由
日本人は教育や文化の中で、「目立たず、和を乱さず、従順であること」を良しとされてきました。
その結果、自ら動くよりも、“指示を待つ姿勢”が身に染みている人が多いのです。
比較例:
- アメリカや北欧諸国では、自ら情報収集して制度を使い倒すのが常識
- 日本では、たとえば「生活保護」などの制度を利用すると「恥」とされ、手を挙げる人が少ない
- ワクチン予約、避難所移動、行政サービス申請などでも「誰かが教えてくれるまで動かない」人が多数
つまり、「お上任せ」の文化が、国民の“考えなくなる力”を弱めてきたという側面があります。
3. 政治家の無責任と国民の無関心がセットで続く悪循環
さらに問題なのは、「政治が動かない」のは政治家だけのせいではないということ。
選挙のたびに「どうせ変わらない」と投票に行かない有権者が多いのです。
具体例:
- 国政選挙の投票率
→ 2022年の参議院選挙の投票率:52.05%(有権者の約半数が棄権)
→ 特に20代の投票率は約35%台と極めて低い
→ それでも「生活が苦しい」「税金高すぎ」と文句だけは言う
このような“政治的無関心”は、結局政治家を甘やかし、無責任を助長する結果につながっています。
4. 日本人は“甘やかされた”ことに気づいていない
戦後復興、高度成長、バブル期――
日本は長らく、国民を“守る”体制が続いてきました。だからこそ、「自分でなんとかする」発想が育ちにくかったのも事実です。
しかしその結果、今では:
- 社会保険料が給料から自動で引かれる=「税金の仕組みに無関心」
- 情報リテラシーの欠如=「フェイクにだまされやすい」
- 公助への過信=「自分で備えない」
という“思考停止型の依存体質”が、当たり前になってしまったのです。
5. これから必要なのは「自衛意識」と「行動力」
これからの日本で必要なのは、
「国が助けてくれる」ではなく「自分が動く」「自分が備える」意識です。
具体的な行動例:
- 災害対策:防災リュックや避難経路の確認は“自助”の基本
- 老後資金:NISAやiDeCoを活用して“自己責任の貯蓄”を準備
- 政治参加:小さな地方選でも“1票”を入れる行動が未来を変える一歩
- 情報リテラシー:誰かの意見を鵜呑みにせず、自分で複数の情報を確認する習慣
まとめ:もう“誰かが助けてくれる”時代じゃない
「政治がなんとかしてくれる」
それは、かつて“豊かな国”だった日本だから成立していた幻想です。
今は、人口減少・財政難・高齢化といった**未曾有の課題を抱える“沈みかけた船”**の上に、私たちは乗っています。
だからこそ、自分の人生は「政治」ではなく「自分」で守るしかありません。
「甘えていては、何も変わらない」
「気づいた人から、行動を始める時代」
――今こそ、日本人が“甘え”から目覚めるべきときです。