かつては「ランチは外で気軽に定食」だったのに、今やオフィスで何も食べずに午後を迎える人が増えています。
その理由はただひとつ──物価高騰。
2024〜2025年、日本の物価は静かに、でも確実に家計を締め付けてきました。今回はその“リアル”と、“見えない貧困”がどう広がっているのかを具体的に見ていきましょう。
1. ランチに1,000円払えますか?もう無理でしょ…
▶ 実例:都内ビジネス街のランチ価格推移
年度 | 定食ランチの平均価格(都心) |
---|---|
2018年 | 約750円〜850円 |
2020年 | 約850円〜950円 |
2025年 | 1,000円〜1,200円(普通) |
飲食店の人件費・光熱費・仕入れのすべてが上がり、ワンコインランチはほぼ絶滅。
▶ サラリーマンの声(SNSより)
- 「もうランチ外食は週1に減らした」
- 「コンビニでおにぎり1個と水で済ませてる」
- 「在宅勤務でも昼抜くことが増えた」
つまり、ランチを我慢=日常という時代に突入したのです。
2. 給料は上がらない、でも出費は増える…の地獄ループ
厚生労働省のデータによれば、2024年の実質賃金は前年比マイナス(つまり給料が“目減り”している状態)でした。
▶ 平均給与(手取り)の変化と物価上昇率
年 | 平均月収(手取り) | 物価上昇率(CPI) |
---|---|---|
2019年 | 約24万円 | 0.5%程度 |
2023年 | 約24.2万円 | 3.0%前後 |
2025年 | 約24.5万円 | 4〜5%(予測) |
つまり、給料はほとんど増えていないのに、支出だけ増えているわけです。
しかも:
- 定期代 → 値上げ
- 電気代 → 高騰
- 食費 → 毎月のスーパーが明らかに高い
- 交際費 → そもそも「外出しない」が主流に
これでは「ランチ代がもったいない」と感じるのも無理ありません。
3. 「ランチは食べない」社員が増えているという事実
2025年初頭、都内のある中堅IT企業が実施した社内アンケートによれば──
- 平日昼食を「とらない日が週3日以上ある」社員:58%
- 理由の1位:節約のため(68%)
また、「コンビニでサンドイッチ1個と水」「自宅からパン1枚だけ持参」「食べずにカフェオレでごまかす」といった**“なんちゃってランチ”**が一般化しています。
4. 若者の“なんとかなる節約術”が話題に
▶ X(旧Twitter)で話題になった“貧ランチ”例
- 「1袋98円のパスタを1週間で4等分」
- 「ご飯+塩昆布だけ、でも幸せ感じる」
- 「職場に置いたプロテインだけで済ます」
- 「毎日ゆで卵2個とバナナ1本、120円コース」
「食べること=贅沢」という空気感が、日本全体に静かに漂っています。
5. 結局、我々は“貧乏”になったのか?
定義にもよりますが、実質的な生活水準は確実に下がっています。
- お金を使わなくなった → 消費が冷え込む
- 消費が落ちる → 経済が回らない
- 企業も儲からず → 賃上げできない → 貧しさの連鎖
この“負のスパイラル”を抜け出せていないのが今の日本。
「貧乏」というと極端に聞こえますが、お金を気にして食事を抜く人が多数派になる国を、どう表現すべきでしょうか?
6. それでも希望はあるとすれば…
以下のような取り組みも広がっています:
- 社員食堂の無料化・補助化(大企業中心に導入中)
- 地域の“子ども食堂”が大人向けにも開放
- フードバンクやSNSを使った食材シェア
- 副業・ギグワークの柔軟化で収入の複線化
このような**“なんとか支え合う社会”**の動きが、せめてもの希望かもしれません。
結論:ランチすら諦める日本人──私たちはどこへ向かっているのか?
「ランチを食べない」という一見ささやかな選択の裏には、物価高と給料のギャップに苦しむ現実があります。
これを単なる“節約”と呼ぶか、“生活困窮”と認識するかで、政策も社会の目線も大きく変わってくるはずです。
未来が明るいとは言えない時代。だからこそ、声を上げていくこと、そして**「おかしい」と感じる感覚を麻痺させないこと**が大切です。