今そこにある“地震の現実”を知っておこう
2024年1月1日の能登半島地震は、最大震度7を観測し、日本中に大きな衝撃を与えました。
「まさか元日に大地震が来るなんて」――そう驚いた人も多いのではないでしょうか。
しかし実は、日本列島には今も常に「次の大地震」のリスクが存在しています。
とくに注目されているのが:
- 首都直下地震(東京圏での震度6強以上の直下型地震)
- 南海トラフ巨大地震(静岡〜九州沖を震源とするマグニチュード8〜9クラスの地震)
今回は、それぞれの発生確率、影響範囲、直近の兆候などを具体的に解説します。
■ 首都直下地震のリスク:30年以内に70%の確率⁉
✅ どういう地震?
首都直下地震とは、東京・神奈川・千葉・埼玉といった首都圏の直下で発生する地震のこと。
最大震度7・マグニチュード7クラスと想定されています。
✅ 現在の発生確率
政府の地震調査研究推進本部の発表によると:
今後30年以内にM7級の首都直下地震が起こる確率は約70%
これは**「ほぼ確実に起きる」といっていい水準**です。
■ 【具体例】2011年の東日本大震災以降、首都圏の地殻変動が活発化
- 東日本大震災以降、首都圏直下のプレート境界にかかるひずみが増加
- 2020年代に入り、東京湾北部や多摩地域でM4〜5クラスの地震が頻発
例:
- 2020年10月 千葉県北西部 M5.3(震度5弱)
- 2022年3月 東京湾 M5.6(震度4)
- 2023年5月 多摩東部 M4.9(震度4)
専門家は、「地震の前兆的活動が顕著になっている」と警鐘を鳴らしています。
■ 想定される被害(内閣府・東京都のシミュレーションより)
- 死者:約2万3,000人(火災による被害が多い)
- 建物全壊:約61万棟
- 避難者:約720万人(都内だけで約400万人)
- 首都圏機能が数週間停止する可能性あり
特に被害が大きいとされるのは:
- 木造密集地帯(荒川区・墨田区・大田区など)
- 海抜ゼロメートル地帯(江東区・足立区・江戸川区など)
■ 南海トラフ巨大地震:100〜150年周期、次は「いつ来てもおかしくない」
✅ どういう地震?
南海トラフ地震は、駿河湾〜四国沖〜九州沖のプレート境界で起こる巨大地震です。
マグニチュードは8.5〜9.0、最悪の場合は東日本大震災を上回る規模。
✅ 過去の地震履歴(100〜150年周期で発生)
- 1707年:宝永地震(M8.6)
- 1854年:安政東海・南海地震(連動型)
- 1944年:昭和東南海地震(M7.9)
- 1946年:昭和南海地震(M8.0)
▶ 次の発生は、「100年の節目」=2040年代までに極めて高い確率で来るとされており、今すでにカウントダウン状態。
■ 【最新予測】今後30年以内の発生確率は?
- 南海トラフ単独型:70〜80%
- 東海・東南海・南海が連動した超巨大地震:60〜70%
つまり、こちらも首都直下と並び「近い将来、確実に起きる」災害なのです。
■ 想定される被害(2022年政府想定)
- 死者:約32万人(津波が主因)
- 建物被害:約230万棟
- 経済損失:約1,410兆円
さらに、次のような二次被害も予想されます:
- 東京~大阪の物流網断裂 → 食料・医薬品不足
- 関西空港・名古屋港の機能停止
- トヨタ・日立などの基幹産業が一時操業停止
つまり、首都圏住民にとっても「対岸の火事」ではないのです。
■ なぜ「能登地震」が警鐘になるのか?
2024年の能登半島地震では、以下のような深刻な事態が発生しました。
- 通信・電気が広範囲で長期間ストップ
- 高齢者施設の入所者が取り残される
- 狭い道路で救援・物資搬入が困難に
これらは、都市直下地震が起きたときにもそのまま再現されうる光景です。
■ じゃあ、私たちは何をすべきか?
✅ まず「正確なリスク認識」を持つ
「地震なんていつ来るかわからない」ではなく、
“近い将来ほぼ確実に来る”という前提で考えることが第一歩です。
✅ 個人でできる備え(都市部・家族向け)
- 飲料水・保存食(最低3日分、できれば7日)
- モバイルバッテリー/手回しラジオ
- 避難ルートの確認(徒歩圏内に安全な公園など)
- 家具の固定、耐震診断の実施
- 家族の連絡手段(災害用伝言ダイヤルやLINEの災害掲示板)
■ まとめ:静けさの裏にひそむ“発災の前触れ”
- 首都直下地震も南海トラフ地震も、数十年単位では“確実に来る”
- 2020年代はその**「直前フェーズ」**と考えるべき
- 小さな地震や地殻変動、プレートの圧力蓄積はすでに進行中
静かで何も起きていないように見えても、
地中では着実にエネルギーが蓄積されており、ある日突然「その時」は訪れます。
大地震は“来るか来ないか”ではなく“いつ来るか”の問題。
今こそ、命を守る準備をはじめましょう。