■ 混雑とガラガラの極端なギャップ
2025年現在、リモートワーク定着や朝のラッシュ回避の動きもあり、かつてのような満員電車ばかりではなく、ガラガラの時間帯や路線も増えてきています。
しかし、電車内が空いているのに、「もったいないから」「出勤しなきゃ損だ」という理由でオフィスに向かう人も少なくありません。
■ “もったいない”の背景にある心理
いくつかの具体例で、その心理を見ていきましょう。
1. 残業代が出ない早出
ある会社員はこう語ります:
「早出しても残業代はつかないけれど、それでも早く出社するのは“もったいない”という気持ちから。満員電車より少し空いた車内なら、少しでも快適な通勤時間にしたいんです。」
Yahoo!知恵袋
まるで得した気になる感覚…それが働く人の無意識の動機になっています。
2. “通勤時間=自分時間”を確保したい
別の方はこう回答:
「通勤時間は唯一『ドラマを見たり本を読んだりできる時間』。満員でなければ、通勤こそが自分の時間なんですよね。」
Yahoo!知恵袋
せっかく空いた電車を利用しない手はない、自分のための時間だと割り切っています。
3. 周囲や上司の目を気にする文化
そして、もう一つの要因として「誰かより早く出社しないとサボっていると思われるのでは?」という文化的背景もあります。これはRedditなど海外フォーラムでも指摘されています:
「日本の職場では、誰も先に帰らない文化がある。電気が自動で消えるような職場ですら、人は誰も帰ろうとしない」
“もったいない”という感情が、集団行動の常識に変化しているのです。
■ こうして日本の通勤文化は歪んでいく?
現象 | 具体例 |
---|---|
通勤時間を“自分時間化” | ガラガラの電車で読書や動画視聴など、自分の時間を確保 |
早く出社しても割に合わない働き方 | 残業代がなくても“損したくない”と感じて出勤 |
帰宅も誰より遅い | 帰りが遅くても、周囲の目があるから帰りにくい |
■ 改めて問い直したい、日本の働き方
このような行動は、個人の“もったいない精神”が無理を助長し、社会全体の効率を下げている可能性があります。
リモートを推進したい企業、フレックス制度を整えたい自治体などは、“働く時間を減らすことがもったいない”と感じる心理をどう変えるかにも取り組む必要があります。
まとめ:
空いている電車にわざわざ乗り、尽く働く――その背景には「無駄を避けたい」「効率を最大にしたい」という日本人らしい慎ましさがあります。ですが、その価値観が真の豊かさや効率を妨げていないか。まずは「自分のための時間」は職場で作れないのか、問い直すことが、未来の働き方の第一歩になるかもしれません。