最近、マクドナルドの日本法人のトップが中国系であるという話を聞いて、「なるほど、いろいろと腑に落ちた」と感じた人も多いのではないでしょうか。

これは「良い・悪い」の話ではなく、食文化や消費者に対する感覚が、日本と中国では根本的に異なることから生じる、興味深い現象です。今回は、その「違い」が日本のマクドナルドにどのような影響を与えているのか、具体例を交えて解説します。


1. 「食べ物に対する感覚」の違い

日本と中国では、食に対する考え方が大きく異なります。

  • 具体例(日本):
    • 「季節感」や「繊細さ」を重視する:夏には冷たい麺、冬には温かい鍋など、季節に合わせた食材や調理法を好みます。
    • 「質」と「安心・安全」へのこだわり:産地や鮮度、あるいは「期間限定」「国産」といった言葉に強く惹かれます。
  • 具体例(中国):
    • 「ボリューム」や「話題性」を重視する:食事は「腹を満たすもの」という側面が強く、量が多いほど「お得」だと感じます。
    • 「新しい体験」や「派手なプロモーション」を好む:SNS映えするような、見た目のインパクトが強い商品や、斬新なコラボレーションに興味を持ちます。

この感覚の違いが、日本のマクドナルドで提供される商品やプロモーションに、ズレを生じさせている可能性があります。


2. なぜ「拒否反応」がピンとこないのか?

日本で発売されたマクドナルドの商品が、時に「なぜこんなものを?」と拒否反応を持たれることがあります。これは、中国系トップにとっては、おそらく理解しがたい反応かもしれません。

  • 具体例:
    • 「月見バーガー」のプロモーション: 日本では秋の風物詩として定着している「月見バーガー」ですが、ある時、そのプロモーションがSNSで「月を見上げる」という、日本の繊細な感性からかけ離れたものだと炎上しました。
    • 「斬新すぎる限定メニュー」: 中国の消費者が好むような「見た目のインパクト」を重視した限定メニューが、日本の消費者からは「食欲をそそられない」「マクドナルドに求めているのはこれじゃない」と敬遠されることがあります。

こうした「拒否反応」は、中国の消費者にはあまり見られない現象です。そのため、なぜ日本の消費者が不満を抱くのか、ピンと来ていない可能性が高いでしょう。


3. トップの「葛藤」とこれからのマクドナルド

もちろん、マクドナルドの日本法人が、こうした食文化の違いを完全に無視しているわけではありません。しかし、本社からのプレッシャーや、グローバルな戦略と、日本のローカルなニーズとの間で、葛藤が生じているのかもしれません。

  • 具体例:
    • 「マクドナルドはグローバルなブランドとして、常に新しい挑戦をすべきだ」という本社の戦略。
    • 「日本の消費者が本当に求めているのは、安心感と、時代を超えて愛される定番メニューだ」という現場のニーズ。

この二つの間でバランスを取ることは、非常に難しい課題です。

日本の消費者の心を再び掴むためには、単に「斬新さ」を追求するだけでなく、日本の食文化や消費者の心理を深く理解し、その繊細な感覚に寄り添った商品開発やマーケティングが求められるでしょう。

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