日本の携帯電話業界において長年「王者」として君臨してきたNTTドコモが、近年急速に存在感を失いつつあります。最新の決算報告によれば、通信事業において約200億円の減収が明らかとなり、業界内で“完全に一人負け状態”に陥っていると指摘されています。

なぜドコモは「一人負け」なのか?

かつては安定した顧客基盤を誇っていたドコモですが、ここ数年で環境は大きく変化しました。主な要因としては以下が挙げられます。

  1. 格安プラン「ahamo」の失速
     2021年に鳴り物入りでスタートしたahamoは、当初は若年層を中心に注目を集めました。しかし、競合のau(povo)、ソフトバンク(LINEMO)も同様に低価格プランを展開したことで差別化に失敗。結果として新規顧客獲得にはつながらず、従来プランからの移行による減収効果が大きく出てしまいました。
  2. 楽天モバイルの存在感拡大
     サービス開始当初は品質の悪さから批判を浴びた楽天モバイルですが、基地局整備が進み通信エリアが改善。価格の圧倒的な安さで利用者を徐々に吸収しつつあり、「ドコモに高い料金を払う必要があるのか?」と考えるユーザーが増えました。
  3. ブランド力の相対的低下
     “ドコモ=安心・安定”というイメージが薄れ、特に若年層にとっては魅力的なブランドではなくなりつつあります。かつては「家族がみんなドコモだから」という理由で加入するケースが多かったのですが、今ではその“鎖”も断ち切られています。

決算で見えた厳しい現実

NTTの発表によると、通信事業の売上は前年同期比で200億円減少。しかも、営業利益率も低下しており、設備投資の負担が収益を圧迫しています。他社が金融、エンタメ、サブスクサービスなどで新たな収益源を模索する一方、ドコモは依然として携帯料金に大きく依存しているのが弱点となっています。

今後の展望は?

ドコモが生き残るには、単なる「料金競争」から脱却しなければなりません。具体的には、

  • 5G・6Gを活かした産業向けサービス(医療・防災・自動運転など)
  • 金融やエンタメ領域への再参入・強化(dポイント経済圏の拡張)
  • 若年層に響くブランディング戦略(動画配信やゲームとの連携)

などが必要になるでしょう。しかし、こうした新規事業の開発には時間がかかり、短期的に通信収益の落ち込みをカバーするのは難しいと見られます。

まとめ

かつての「絶対王者」ドコモは、いまや格安競争と新興勢力の台頭に押され、“オワコン”とまで揶揄される状況に陥っています。200億円減収はその象徴であり、通信事業の構造的な問題を浮き彫りにしました。今後の方向性を誤れば、かつての栄光は完全に過去のものとなりかねません。

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