政府は現在、安全保障上重要な施設周辺などの土地取引について、外国人による関与を厳しく規制する方向で法整備を進めています。特に注目されているのが、「外国人による支配」と見なされる法人に対しても、国籍の登録を義務化するという新しい規制の動きです。
これまでの規制は、個人や外国政府・外国法人による直接的な土地取得に焦点を当てていましたが、今回の改正は、日本の法人を隠れ蓑にした間接的な買収という「抜け穴」を塞ぐことを目的としています。
🚨 なぜ法人の国籍登録が必要になったのか?
現行の「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(重要土地等調査法)では、重要施設周辺の土地取引を規制していますが、以下の問題点がありました。
- 間接的な支配による抜け道: 外国政府や外国資本が、日本の国内に設立した**「ペーパーカンパニー」や「日本の法人」**を通じて土地を取得した場合、現行法ではその実態把握や規制が困難でした。
- 安全保障上のリスク: 軍事施設や原発などの重要施設周辺の土地が、実質的に外国の意図に基づいて利用されることは、日本の安全保障上の重大なリスクとなります。
- 具体例1:
- 外国政府資本100%の企業が、日本にA株式会社を設立。
- A株式会社が、自衛隊基地に隣接する土地を購入し、その土地に**「監視用」**と疑われる施設を建設。
- A社は日本の法人であるため規制の対象外となり、外国の意図による土地利用を防げない。
この「抜け穴」を防ぐために、**「実質的な支配者」**が誰であるかを明確にする仕組みが必要となりました。
🏢 新たな規制の仕組み:「外国人支配」の定義
今回の改正で、国籍登録の義務化対象となる「外国人による支配」が及んでいる法人は、具体的に以下のいずれかの基準を満たす場合とされています。
📌 基準1:役員の過半数が外国籍の場合
法人の取締役や執行役など、意思決定に関わる役員(理事を含む)の過半数が外国籍である場合、その法人は規制対象となります。
- 具体例2: B株式会社の役員(取締役)が5名いるうち、日本国籍を持つのが2名、外国籍を持つのが3名である場合、役員の過半数(3/5)が外国籍であるため、B社は国籍登録を義務付けられる対象となります。
📌 基準2:議決権ベース株式の過半数が外国人の場合
法人の議決権ベースの株式(株主総会などで議決権を行使できる株式)の過半数を外国籍の個人や外国法人が保有している場合、規制対象となります。
- 具体例3: C株式会社の議決権付き株式の総数が100株あり、そのうち外国法人D社が60株、日本人が40株を保有している場合、議決権の過半数(60%)が外国法人によって支配されていると見なされ、C社は国籍登録が義務化されます。
📝 国籍登録義務化後の影響と罰則
この国籍登録が義務化された法人には、以下の対応が求められ、違反した場合には罰則が科せられます。
1. 登録情報
法人は、実質的な支配者(外国籍の役員や株主)の氏名や国籍などの情報を国に届け出る必要があります。これにより、誰がその土地を実質的に支配し、何のために利用しようとしているのかを国が正確に把握できるようになります。
2. 罰則
この登録義務に違反したり、虚偽の申告を行ったりした法人には、懲役や罰金などの罰則が科される見通しです。罰則を設けることで、ルールの実効性を高める狙いがあります。
🌍 まとめ:規制強化の目的は「安全保障」
今回の法改正の動きは、国際情勢が不安定化する中で、日本の国土が外国の脅威に利用されることを未然に防ぐという安全保障上の重要な目的を持っています。
- 土地の利用は自由であるべきですが、その利用が国の安全を脅かす場合には、一定のルールが必要となります。
この規制強化によって、重要施設周辺の土地取引の透明性が高まり、日本の安全がより確かなものになることが期待されます。