1. そもそも「東京29区」とはどんな場所か?

東京29区は、2022年の区割り変更で誕生した比較的新しい選挙区です。

  • 荒川区全域
  • 足立区の一部(西部エリア)

ここは伝統的に公明党の支持基盤(創価学会)が極めて強いことで知られ、公明党にとっては「絶対に落とせない聖地」の一つです。一方、下町気質が強く、リベラル層や労働組合(連合)の票も一定数存在するため、これまでは「公明 vs 立憲」の激しい火花が散る構図が続いてきました。

2. 構図の激変:立憲の「支援」が意味する破壊力

今回の合意により、立憲民主党は29区での独自候補擁立を見送り、公明党の岡本三成氏を全面支援する方針に転換しました。これがもたらす数字上のインパクトは絶大です。

  • 「組織」+「組織」の掛け算: 公明党の強固な「鉄の結束」を誇る学会票に、立憲を支える「連合東京(労働組合)」の組織票が上乗せされます。
  • 「反自民」の受け皿が一本化: これまで「自民党は嫌いだが、公明党もちょっと……」と迷っていた無党派層に対し、「立憲が認めた中道候補」という免罪符が与えられることになります。

3. 現地で起きる「3つの想定外」

この共闘は、現場にこれまでにない化学反応(あるいは拒絶反応)を引き起こしています。

① 「昨日の敵」とのポスター並べ

昨日まで立憲の候補者を応援していた足立・荒川の区議会議員たちが、今後は岡本三成氏の応援演説に立つことになります。商店街には、野田佳彦氏と岡本三成氏が握手するポスターが貼り出される事態に、地元住民からは「天変地異だ」との声も上がっています。

② 自民党候補の「孤立」

2025年10月の連立解消まで、公明党を支援していたはずの自民党支持層は、完全にハシゴを外された形です。自民党側は対立候補を立てざるを得ませんが、学会票を失った上、立憲・公明の連合軍を相手にするのは「戦車に竹槍で挑むようなもの」と危惧されています。

③ 有権者の混乱と「維新」の動向

「立憲と公明が組むなんて野合だ」と反発する保守・リベラル双方の浮動票がどこへ向かうかが焦点です。ここで漁夫の利を狙うのが日本維新の会ですが、東京29区の強固な組織戦を前に、どこまで食い込めるかが鍵となります。


4. 岡本三成氏という「結節点」

なぜ東京29区がこの実験に選ばれたのか。それは、公明党の岡本三成氏自身のキャラクターも関係しています。 ゴールドマン・サックス出身の国際派であり、公明党内でも「柔軟な対話ができる政策通」として知られています。立憲民主党の保守系議員や野田代表ともパイプがあり、「この人なら担げる」という判断が立憲側にもあったと言えるでしょう。


結論:東京29区は「政権交代」のプロトタイプになるか

東京29区での立憲・公明共闘が成功すれば、このモデルは全国の都市部選挙区へ一気に波及します。

「自民党に代わる、安定した中道勢力」という新しい選択肢が、単なる理想ではなく、具体的な「票」として証明される場所。それが今の東京29区です。15日の会談後、荒川・足立の街頭演説で両党がどのような言葉を市民に投げかけるのか、日本中の政治関係者が固唾を呑んで見守っています。

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