「50代でリタイアして、のんびり趣味三昧の生活を送りたい」
「老後は年金+資産運用で安泰のはずだった」
そんな“早期退職”の夢が、いま急速に現実離れしたものになりつつあります。

その理由は、「物価高騰」「株安」「円安」というトリプルパンチ。今回はその具体的な影響と、実際に早期退職を検討していた人たちのリアルな声、そして現実的な対策をわかりやすく解説します。


1. 物価高騰で生活費が跳ね上がる

まず最も身近な問題が、日常の生活費の急上昇です。総務省の2024年の家計調査によれば、食料・光熱費・交通費・住居費が前年より全体的に5〜15%上昇しています。

✅ 具体例(2025年5月現在):

  • 食パン(6枚切り):2020年は120円 → 今は180円(+50%)
  • ガソリン:2020年は130円/L → 今は175円/L(+35%)
  • 電気代:再エネ賦課金や燃料調整費で平均月額+3,000円

退職後は収入が減るため、物価上昇は大きな打撃。生活費が想定より月5〜6万円増えるだけで、30年間で2,000万円近い差になります。


2. 株安で資産運用が思うようにいかない

早期退職を目指す人は、資産運用で資産形成しているケースが多いですが、2024年後半から2025年にかけての株式市場の調整局面が直撃。

特に米国株や成長株に集中投資していた人は、利上げ継続や地政学リスクで資産が2〜3割減少したという例も。

✅ 具体例:

  • 「2023年末に7,000万円あった資産が、2025年5月時点で5,200万円に…」
  • 「早期退職を目前に、老後資金が予定より2,000万円減った。退職は延期せざるを得ない」(60歳・男性)

3. 円安で海外旅行・輸入品の価格が高騰

さらに、**円安(1ドル=155円超)**が退職後の「ゆとり生活」に打撃を与えています。特に以下のようなライフスタイルを思い描いていた人にとっては深刻です:

  • 「リタイア後は海外ロングステイを満喫したい」
  • 「ワイン・チーズ・コーヒーなど輸入食品を楽しみたい」
  • 「海外ETFや不動産で資産を守るつもりだった」

✅ 具体例:

  • ハワイ2週間旅行の費用:1人あたり35万円 → 2020年比+10万円超
  • 海外ETFの為替損:ドル建て資産を円に戻す際に2割の損失

4. 年金や退職金に頼れない時代

少子高齢化と社会保障制度の不安定さもあり、年金の支給開始年齢引き上げや実質減額が進んでいます。

加えて、退職金の額も中小企業では減少傾向にあり、「退職金で一括住宅ローン返済→悠々自適」というモデルは通用しづらくなっています。


5. 「早期退職失敗」リアルな声

💬 55歳・元エンジニア(退職後2年)

「サイドFIREを目指して早期退職したが、株価と物価が逆方向に動き、支出は想定より月8万円増。結局また再就職を探している」

💬 52歳・元金融マン

「不動産収入と投資で暮らす計画だったが、金利上昇でローン負担増&空室増加。『もう5年働いておけば…』と後悔」


6. どうすれば“リスクの少ない退職”ができるのか?

✅ 対策①:支出を見える化し、生活レベルを見直す

  • 家計アプリで「退職後シミュレーション」を行う
  • 収入の5割で生活できる体質を作る

✅ 対策②:分散投資と定期的なリバランス

  • 海外資産、円建て債券、現金などを適切に分散
  • 暴落時は「無理に取り崩さない余裕資金」を確保

✅ 対策③:再就職・副業の道も確保

  • 「週3日だけ働く」などの選択肢を想定
  • スキルや資格でオンライン副業も視野に入れる

まとめ:夢を「現実」にするには、現実を知ることから

早期退職は決して不可能ではありませんが、現在の経済情勢では「念入りな資産計画」と「柔軟な生活設計」が不可欠です。

物価高・株安・円安の波を乗り越える力が、本当の意味での“ゆとりある退職生活”につながるのです。

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