「最近、会社で昼ごはんを食べていない人が増えてきた」
こんな話を耳にする機会が増えていませんか?
かつてはランチ休憩といえばリフレッシュの時間でしたが、今は“節約のために昼食を抜く”という苦渋の選択をする人が急増中です。
背景にあるのは、止まらない物価高と、伸びない給料。
今回は、職場での“昼食断ち”のリアルを具体的に紹介しつつ、この社会的異常事態を紐解きます。
■ 実例①:社員食堂から人が消えた
東京都内の中堅企業(社員300人規模)で働く女性(28歳)の証言:
「去年までは同僚と社員食堂で日替わりランチ(500円)を食べていたのに、今はお弁当を持ってくるか、食べない人ばかり。私は朝ごはんを多めにして、昼は白湯だけでしのいでいます。」
最近では、社員食堂の利用者が半減したという企業もあり、利用者減によるランチ営業の縮小や廃止が続いています。
■ 実例②:コンビニの“昼食代が高すぎる”問題
30代の男性会社員(神奈川県・IT業界)はこう語ります。
「おにぎり2つとペットボトル1本で500円超え。1日500円として、月20日で1万円。昼を抜けばそのぶん浮く。今はブラックコーヒー1本で済ませる日も多い。」
500円のランチが高く感じる社会――
それは実質賃金の低下と物価の急上昇が直撃している証拠です。
■ 実例③:「昼食を食べると眠くなるから」と言い訳している新人たち
ある中小企業の管理職は、若手社員の変化をこう語ります。
「“お昼食べないんですか?”と聞くと、“集中したいんで”とか“午後眠くなるんで”と答える。でも実際は節約なんだろうな…と思っている。」
周囲に“貧しいと思われたくない”という心理が働き、食べない理由をあえてポジティブに装う若者も増えています。
■ 原因:なぜ昼食すら削らなければならなくなったのか?
1. 物価の上昇(食品は2020年比で15〜20%以上UP)
- パン類、惣菜、おにぎり、飲料など、毎月のように値上げ
- 500円でランチを済ませるのが“困難な時代”に突入
2. 賃金が上がらない・手取りが減る
- 実質賃金は10年以上横ばい〜下落傾向
- 社会保険料・住民税の増加で、可処分所得が縮小
3. “生活防衛意識”の高まり
- 「1円でも安く抑えたい」という心理
- “昼ごはんを抜く”ことが節約として定着
■ 健康への悪影響も深刻
- 午後の集中力低下、ミスの増加
- 低血糖による倦怠感・イライラ
- 慢性的な栄養不足 → 免疫力低下・体調不良
- メンタル面への影響(うつ状態や無気力)
「午後の会議でボーッとしてしまう。やる気の問題じゃなくて、完全に栄養が足りてない感じ」(20代営業職)
■ このままで本当にいいのか?昼食を「贅沢品」にしてしまった社会
一日3食のうちの1食すら“我慢しなければならない”ほど追い詰められている――
それが今の日本の現実です。
昼ごはんがまともに食べられない国に、将来の希望や活力が宿るでしょうか?
■ 対策と希望:見直すべき3つのポイント
- 職場での食支援制度の導入
- ランチ補助、社内キッチン、弁当の共同購入制度など
- 自治体や企業による“昼食支援”の拡充
- 子ども食堂の“社会人版”の整備
- テレワーク推奨で自炊コストを下げる施策
- 政策的な「可処分所得」の回復
- 消費税減税、社会保険料の見直し、生活支援給付の拡充
■ おわりに:昼ごはんを抜かなくて済む社会に戻すために
「今日は食べないでいいや」「白湯でいい」
それは“我慢強さ”ではなく、“我慢を強いられる社会”の象徴です。
豊かさとは、1日3回ちゃんとごはんが食べられること。
その基本すら失われつつある今、私たちは何を優先すべきなのか、真剣に考える時ではないでしょうか。