〜「逃げずに、でも縛られない働き方」へのシフト〜
前回の記事では、海外から見た「死ぬまで働く日本」の実態や評価について紹介しました。今回はその続編として、日本社会がこの過密労働・高齢者労働の流れをどのように変えられるか、そして私たち一人ひとりができることについて具体的に掘り下げていきます。
■ 日本が変わるための3つの視点
1. 「会社中心」の価値観を手放す
多くの日本人にとって、働くとは「企業に雇われること」と同義です。しかし欧米では、自営・副業・パート・短時間勤務といった選択肢が「正社員」と同列に扱われています。
✅ 具体例:
- デンマークでは週30時間勤務でもフルタイム扱い。
- オランダでは全労働者の45%がパートタイム(男女共に)で、労働時間の選択は権利とされている。
🔁 日本でも可能なアクション:
- 「正社員神話」から離れ、自分に合う雇用形態を選ぶ勇気を持つ
- フリーランスや業務委託、副業などを並行して実践する
- 職場に柔軟な働き方の提案をしてみる
2. 引退=終わりではなく「再出発」とする社会設計
日本では「引退=社会から退くこと」というイメージが強いですが、欧州では引退後に地域貢献や学び直しに取り組む人が多くいます。
✅ 具体例:
- フィンランドでは高齢者大学(Senior University)が盛んで、70代でも歴史やITを学ぶ人が多数。
- イギリスではシニア起業支援が進み、60歳を超えてのスタートアップが急増。
🔁 日本でも可能なアクション:
- 引退後を「余生」ではなく「第2のキャリア」と捉える
- 地域活動や講座参加、資格取得にチャレンジしてみる
- 老後資金だけでなく「老後ビジョン」を持つこと
3. 生産性ではなく「幸福度」で働き方を考える
「働きすぎ=非効率」とはよく言われますが、それ以上に重要なのは働くことで幸せを感じられるかどうかです。
✅ 具体例:
- スウェーデンでは週4日制の導入で生産性は落ちず、逆に離職率が低下。
- ドイツでは年間有給平均30日+病欠有給もしっかり保障されているが、GDPは日本以上。
🔁 日本でも可能なアクション:
- 長時間働くことを美徳とせず「短く働いて豊かに暮らす」視点を持つ
- 有給は積極的に使う/余暇を「無駄」ではなく「再充電」と考える
- 心身に余裕のある働き方を上司や同僚と共有する
■ 若者こそ、「働き方の実験者」になれる
実は変化の兆しもすでに始まっています。
🌱 実際の動き
- 20〜30代を中心にフリーランス、副業、週4日勤務を選ぶ人が増加中
- 地方移住+テレワークで生活コストを抑え、「働きすぎない」生き方を模索する層も広がっている
📌 例:兵庫県丹波市の「移住+週3勤務」実践者
「年収は下がったけれど、時間と自然に囲まれてのびのびと生きられている。これこそ幸せだと思う」
■ 私たちが“死ぬまで働く日本”を変えるためにできること
アクション | 解説 |
---|---|
✔ 柔軟な働き方を選ぶ | 正社員だけにこだわらず、働き方を組み合わせてみる |
✔ 引退後の人生設計を考える | 働くor働かないを選べるように準備する |
✔ 勤労=幸福とは限らないと認識する | 過労=努力ではない。自分の幸福を指針にする |
✔ 海外の事例を学び、比較する | 国際的視点を持って、視野を広げる |
✔ 「会社のために死なない」ことを宣言する | 自分の人生は自分で決めると意識する |
■ 最後に:一人ひとりの「選択」が社会を変える
日本全体をすぐに変えるのは難しいかもしれません。
しかし、自分の働き方・生き方を少しずつ見直すことなら、今日からでもできます。
「死ぬまで働く」ことが当たり前になった日本で、
「死ぬまで働かなくていい」生き方を模索する人が増えれば、
いずれそれが新しい当たり前になっていくはずです。