2025年7月1日、鹿児島県のトカラ列島近海で震度5弱の地震が発生し、各地に大きな衝撃を与えました。震源の深さは10km、マグニチュードは5.8と推定され、十島村を中心に激しい揺れが観測されました。
ところがSNS上では、この地震について「これは予言どおりだった」「7月5日に大地震が起きるとされていたが、ズレただけでは?」といった書き込みが急増。果たして、今回の地震は“予言”による警告と関係があるのでしょうか?
「7月5日大地震予言」とは何だったのか?
2025年6月頃から、X(旧Twitter)やTikTokなどで「7月5日に南海トラフ地震が起きる」「東京が壊滅する」といった予言的な投稿が急速に拡散していました。その多くは、以下のような“根拠”に基づいていました。
予言の内容(一例)
- 数字や暦に基づく占星術的な分析(例:7+5=12=災厄の月)
- 2024年の能登半島地震から数えてちょうど半年
- 予知夢・霊感系インフルエンサーの発言
- 過去の「前兆地震」の周期から7月5日を導き出したという人も
こうした予言の多くには科学的な根拠は存在せず、いわば「不安の集合体」として形成された噂です。
実際に起きたのは「7月1日」トカラ列島の震度5弱
興味深いことに、予言日とされていた「7月5日」より4日前の7月1日に、トカラ列島で大きな地震が発生しました。
この出来事により、「少しズレただけで実質的には当たっているのでは?」という声が出ていますが、注意すべき点があります。
過去のパターンから見ると…
- トカラ列島の群発地震は毎年のように起きている
- 地震がピンポイントの日付で予測されたことはない
- 7月という時期に地震が起きるのも珍しくはない
つまり、予言があったから地震が起きた、あるいは地震が起きたから予言が当たったという因果関係は極めて薄いといえます。
専門家の見解:「予言ではなく科学で地震に備えるべき」
東京大学地震研究所の地震学者は次のように語っています。
「大地震は予測が非常に困難で、今の科学でもピンポイントで日時を特定することは不可能です。SNSの予言に頼るのではなく、ハザードマップや過去のデータに基づいて備えることが何より重要です。」
気象庁も今回のトカラ列島地震について、「今後1週間程度は同規模の地震に注意するように」と呼びかけていますが、“予言との関連”については完全に否定しています。
「予言」による問題点とは?
SNS上で拡散される地震予言には、以下のような危険性もあります。
- 不安を煽るだけで現実的な行動に結びつかない
- 子どもや高齢者が過剰に恐怖を感じる
- デマ情報により誤った避難行動を取る人が出る可能性も
とくに最近では「7月5日は会社を休むべき」「都市から離れろ」といった投稿もあり、一種のパニックが形成されつつあります。
ではなぜ「予言」は信じられるのか?
人は災害に直面したとき、「意味づけ」を求める心理が働きます。特に地震のように予測不能な現象に対しては、「誰かが知っていた」「何かのサインだった」というストーリーを信じたくなるのです。
これが、科学的根拠のない“予言”が一部で熱狂的に支持される理由です。
結論:7月5日の予言とトカラ地震は「無関係」。大事なのは正確な情報と備え
今回のトカラ列島での震度5弱の地震と、「7月5日に大地震が起きる」という予言が偶然近い日付だったことにより、多くの人が混乱しています。
しかし、今のところこの地震と予言との直接的な関連性は確認されておらず、科学的な裏付けも一切ありません。むしろ、こうした予言に振り回されるよりも、日頃の備えを見直すことが何より大切です。
- 非常持ち出し袋の確認
- 水・食料・モバイルバッテリーの準備
- 家族との避難ルート共有
地震は「来る・来ない」ではなく、「来たときどう動くか」が生死を分けます。
噂や予言に踊らされず、事実に基づいて備えましょう。