最近、「スーパーでお米が売り切れていた」「いつものブランドが買えない」といった声がSNSや日常会話でよく聞かれるようになりました。実際に、いま日本では深刻な米不足が続いています。
でも、日本は米どころ。なのに「どうして?」と感じた方も多いはずです。今回は、そんな素朴な疑問に対して、わかりやすく、具体例を交えて解説していきます。
1.米不足は本当に起きているの?
はい、起きています。特に2024年の年末から2025年にかけて、米の価格が高騰し、スーパーや業務用市場でも供給が追いつかない状況が続いています。
農林水産省の発表によると、2024年のコメの生産量は前年比で約10%減。また、業務用米の在庫も底をつき始めています。
2.米不足の主な原因は「天候不良」
▶ 異常気象が稲作に大打撃
最大の要因は、2023年の夏から秋にかけての猛暑と少雨です。たとえば、
- 東北地方では連日35度超えの猛暑が続き、稲が「高温障害」に。
- 特に**山形県や秋田県では白未熟粒(しらみじゅくりゅう)**が多発。これはお米が白く濁ってしまい、品質が落ちる現象です。
その結果、「収穫量はあっても品質が基準に達せず出荷できない」というケースが続出しました。
3.農家の“米離れ”も影響
もうひとつの見逃せない要因は、農家によるコメ作りの離脱です。
- 収益の低さ:農家の手元に残るお金が少ないため、コメ作りをやめる人が増加。
- 高齢化と後継者不足:農家の平均年齢は67歳を超えており、担い手が減少。
2023年からは、政府の「水田活用の直接支払交付金」制度の変更で、飼料米や加工用米への転作が奨励されたことも影響し、食用米の作付面積が減っています。
4.物流と需要のアンバランス
パンデミック以降、家庭での米需要は高止まり。一方、外食業界も回復してきたことで、家庭・業務用ともに需要が拡大しました。
しかし、供給側は前述の理由で縮小傾向に。たとえば、
- **人気ブランド米(魚沼産コシヒカリやあきたこまち)**が品薄。
- 飲食チェーンでは、価格が高すぎて国産米の使用を断念する動きも出ています。
5.米不足はいつまで続く?
2025年6月現在も米不足は継続中です。農水省は一部の備蓄米を放出するなどの対応をしていますが、次の収穫(2025年秋)までは大きな改善は見込めないとの見方が有力です。
6.私たちにできることは?
- 買い占めをしないこと:必要な量だけ購入することで、全体の流通が安定します。
- ブランドにこだわらない:特定の人気ブランドに集中しないよう、他地域のお米を試してみるのも◎
- 食品ロスを減らす:炊いたご飯を無駄にしないように冷凍保存などを活用しましょう。
まとめ
原因 | 詳細 |
---|---|
天候不良 | 猛暑・少雨で品質低下、収穫量減少 |
農家の離脱 | 採算の悪さ、制度変更による転作 |
需要と供給のギャップ | 外食回復&家庭用増加で供給が追いつかず |
米不足は、**複数の要因が重なって起きている“構造的な問題”**です。単なる一時的な品薄ではないからこそ、これからの食卓をどう支えていくか、考えるきっかけにしたいですね。