近年、日本国内で在日中国人による薬局の買収が目立つようになっています。背景には、訪日観光客(インバウンド)や越境ECを通じて日本の医薬品・健康食品に高い需要があることが挙げられます。さらに、中国語対応が可能な行政書士やコンサルタントが増えたことで、外国人による薬局経営への参入が以前より容易になっているのです。


なぜ日本の薬局が狙われるのか?

① 中国国内での「日本製」人気

中国では依然として「日本の医薬品=安全で高品質」というイメージが強く、風邪薬、目薬、胃腸薬、さらには湿布やサプリメントまで幅広い商品が人気を集めています。
例:「龍角散ダイレクト」「大正漢方胃腸薬」「ロートZ!」などは、中国のECサイトで定価の2倍以上で販売されるケースもあります。

② インバウンド需要

コロナ禍後に訪日中国人観光客が戻りつつあり、薬局は「お土産購入の定番スポット」。免税販売を通じて一度に大量購入するケースが再び見られます。

③ 越境EC市場の拡大

日本の薬局を拠点に、中国国内向けにEC販売を行うビジネスモデルが急拡大。これにより、日本の薬局を直接保有することのメリットが増しています。


中国語対応の行政書士が増えた背景

薬局を開業・運営するには、薬事法や医薬品医療機器等法に基づく申請や許可が必要ですが、これらの手続きは煩雑です。

近年、中国語で手続き代行を行う行政書士や専門家が増加しており、外国人でも言語の壁を感じずに開業申請を進められるようになりました。

  • 「中国語対応・薬局開業サポート」などを掲げる行政書士事務所が東京・大阪・名古屋を中心に増加。
  • 事業計画から物件探し、行政への提出書類までワンストップで代行可能。

これにより、中国人経営者にとっては日本の薬局買収・参入が一気にハードルの低いものとなっています。


不透明な部分:「中国への販売手続き」

日本国内での販売は法律上問題ないものの、購入した医薬品を中国へ販売する場合のルールは極めて複雑です。

  • 医薬品の輸出には厚労省や税関での特別な許可が必要。
  • 一方で、「サプリメント」や「一般医薬部外品」に分類される商品は、比較的容易に輸出可能。
  • 実際には、医薬品と健康食品の境界が曖昧であり、どの手続きが必要かを経営者自身が明言しないケースが多いのが現状です。

ある薬局経営者はインタビューで「必要な手続きは当然している」と述べつつも、具体的な輸出スキームや許可の有無については語らなかったと報じられています。


今後の課題と懸念

  • 薬の安全性確保
    輸出ルートが不透明なまま大量の医薬品が中国に流れると、品質管理や安全性にリスクが生じます。
  • 地域薬局の買収競争
    資金力のある外国人経営者により、地方の薬局やドラッグストアが買収されるケースも増加。地域の高齢者向け医療インフラに影響が出る可能性があります。
  • 法規制の強化の可能性
    政府は今後、外国人による薬局経営や医薬品輸出に関して、新たな規制を設ける可能性も否定できません。

まとめ

「在日中国人による薬局買収」の動きは、

  • 日本製医薬品の需要
  • 行政手続きのサポート環境
  • 越境ECの拡大

といった要因が重なった結果として広がっています。

一方で、「中国への販売に必要な手続き」が不透明であることから、業界全体としてはまだグレーな部分が多いのも事実です。今後、日本国内での薬局買収がさらに増え、流通経路の透明性をどう担保するかが大きな課題となるでしょう。

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