1. 安住淳氏と公明党、かつての「深い溝」
安住淳幹事長といえば、野党時代に公明党を「自民党に寄生し、政権に居座り続ける存在」として厳しく批判してきた急先鋒でした。
- 「シロアリ」発言の衝撃: かつて安住氏は、自公連立を「シロアリが柱を食い、家が腐っていくようなもの」と比喩しました。この発言は今なお語り継がれるほど、両党の「不倶戴天の敵」ぶりを象徴していました。
- 国対委員長としての対立: 長年、国会運営の最前線で公明党の老獪な戦術に苦しめられてきた安住氏にとって、公明党は「倒すべき対象」であっても「組む相手」ではありませんでした。
2. なぜ立憲側は「全面譲歩」したのか?
今回の新党結成において、立憲民主党は驚くほどの譲歩を重ねました。安保法制の「違憲部分廃止」という看板を下ろし、政策の主導権を公明党の「5本柱」に委ねたのです。
① 「高市独走」への恐怖
最大の要因は、高市早苗首相による「最短解散」と、その後の圧倒的な支持率です。「このままバラバラに戦えば、自民に単独過半数どころか300議席近くを献上する」という冷徹な計算が、安住氏を含む立憲幹部を動かしました。
② 「公明党の集票マシン」という禁断の果実
安住氏は選挙のプロです。立憲の支持母体である「連合」の集票力が陰る中、全国に数百万人規模の会員を持つ創価学会の票が「一本化」されれば、小選挙区で自民党を壊滅させられる。その誘惑が、長年の嫌悪感を上回りました。
③ 野田佳彦代表の「中道回帰」路線
野田代表が掲げる「穏健な保守からリベラルまで」という路線の実現には、公明党の持つ「中道」の看板が不可欠でした。安住氏は、自身の感情よりも「政権交代の可能性を1%でも上げること」を優先し、公明党主導の綱領を飲み込んだのです。
3. 「創価学会の影」と「置き去りのリベラル」
新党の綱領に「政権交代」という言葉が明記されず、安住氏が会見で「そんな言葉を書くのは野暮だ」と語ったことは、共産党や立憲内の左派層に大きな衝撃を与えました。
- 組織の飲み込み: 新党の比例代表名簿で公明出身者が優遇されるなど、組織の実態は「公明党による立憲の吸収」に近いとの指摘もあります。
- 安住氏の沈黙: かつての牙を失ったかのように、公明党への配慮を繰り返す安住氏の姿に、支持者からは「信念を売ったのか」との溜息も漏れています。
4. まとめ:安住氏の「賭け」は吉と出るか
安住氏が“公明嫌い”を封印し、創価学会の影を受け入れたのは、それほどまでに今の日本政治が「一強」の状態にあるという危機感の裏返しでもあります。
「毒を食らわば皿まで」――。 かつて自民党を食うシロアリと呼んだ相手と、今度は同じ屋根の下で暮らすことを選んだ安住氏。この「奇妙な同居」が、高市政権を揺るがす巨大な力になるのか、それとも中道改革連合そのものが内側から瓦解するのか。その答えは、2月8日の審判に委ねられています。