2025年、日本ではとある漫画に記された**「7月に日本で大災難」**という予言が大きな話題となりました。この噂はSNSを通じて瞬く間に広まり、その影響は日本国内にとどまらず、海外、特に日本への旅行客が非常に多い香港にまで波及しました。
一説によると、この予言によってキャンセルされた日本旅行の経済的損失は推計2000億円にも上ると言われています。
「日本離れ」を加速させた2つの要因
香港の旅行業界関係者によると、香港人が日本旅行を控えるようになった背景には、予言の噂以外にも、以下のような複合的な要因があると言われています。
1. 予言への不安感
日本のメディアでも取り上げられたこの予言は、香港でも中国語版の漫画が発売されたことなどから大きな関心を集めました。多くの香港人は科学的な根拠がないことは理解しつつも、「もしものことがあったら…」という漠然とした不安を抱き、夏休みの旅行先として日本を避ける選択をしたようです。
具体例:SNSでの広がり SNS上では、「7月に日本に行くのはやめておこう」「もし日本で地震が起きたら、飛行機が止まって帰れなくなるかもしれない」といった投稿が多数見受けられました。このような情報が拡散されたことで、不安はさらに増幅しました。
2. 経済的な理由と「北上消費」
香港経済の停滞と物価高が、旅行先の選択に大きな影響を与えています。日本円安の恩恵を受けても、依然として物価が高いと感じる香港人も少なくありません。こうした状況下で、香港人の中で新たなトレンドとなっているのが、隣接する中国大陸、特に深センへの旅行です。これを**「北上消費」**と呼びます。
「北上消費」とは何か?
「北上消費」とは、香港の人々が週末や休日を利用して、より物価の安い中国大陸の都市、特に深センへ出かけて消費活動を行う社会現象です。
具体例:深センの魅力 深センは、香港から高速鉄道でわずか数十分の距離にあり、アクセスが非常に便利です。深センの魅力は以下の通りです。
- 驚くほどの安さ:香港に比べて、飲食費や日用品、サービス料などが2〜5割ほど安いと言われています。香港のレストランで食事をすれば一人数百香港ドル(数千円)かかる場合でも、深センではその半額以下で同じような質の料理を楽しむことができます。
- 高品質なサービス:深センは急速な発展を遂げており、香港にはない最新のショッピングモールやテーマパークが次々と建設されています。また、香港よりもサービスの質が良いと感じる消費者も少なくありません。
- 多様なエンターテイメント:カラオケや映画館、マッサージ、エステといったエンターテイメント施設も充実しており、香港では高価なサービスを気軽に楽しむことができます。
まとめ
予言という非科学的な噂が、経済的な理由と相まって香港人の旅行行動に大きな変化をもたらしました。今回の「日本離れ」は一時的なものかもしれませんが、香港人の旅行先が多様化し、新たなトレンドが生まれていることは間違いありません。今後、日本が再び香港人旅行客を呼び戻すためには、予言の風評被害を払拭するだけでなく、円安だけではない新たな魅力や体験を提供していくことが求められるでしょう。