2025年夏、岸田文雄首相の後継をめぐる動きが活発化しています。政界ではすでに「ポスト岸田」の争いが水面下で進んでおり、各派閥や政党の思惑が錯綜する状況です。本記事では、次の首相に名前が挙がる有力候補を具体例として取り上げながら、その背景や課題について解説します。
1.石破茂氏:根強い国民的人気、しかし党内では不遇?
自民党の石破茂元幹事長は、「正直で誠実な政治家」として一般国民の間で高い支持を受けています。特に地方創生や安全保障に関する深い知識が評価されています。
しかし、自民党内では長年にわたる「非主流派」の立場が影響し、派閥の後ろ盾を欠くため、総裁選で苦戦が続いてきました。それでも、最近では「ポスト岸田」として再び注目されており、8月1日に予定される米国との重要な関税協議の結果を待って動き出すのではないかとの見方も出ています。
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2021年の自民党総裁選では、地方票で善戦するも、国会議員票で敗北。この構図は今も変わっておらず、「国民人気と党内政治のギャップ」がネックといえます。
2.河野太郎氏:改革派の旗手として存在感
河野太郎デジタル担当大臣は、SNSでの発信力と実行力を武器に「次世代のリーダー」として高い注目を集めています。特に若年層やビジネスパーソンからの人気が高く、「古い政治を変える存在」として期待されています。
ただし、物議を醸す発言や姿勢も多く、保守派からの反発も根強いのが実情です。
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ワクチン担当時代に迅速な接種体制を構築したことは高評価。一方、エネルギー政策における原発に対するスタンスでは党内の意見が分かれています。
3.高市早苗氏:保守派の本命だが調整力が課題
高市早苗経済安全保障担当大臣は、明確な国家観と保守的な政策提言で右派層から熱烈な支持を得ています。スパイ防止法の導入や防衛力強化を強く主張しており、「国家の守り手」としての評価が高いです。
ただし、党内での支持基盤は狭く、首相という「調整型の職務」においてはやや不安視されている面もあります。
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過去の総裁選では安倍晋三元首相の支持を受けて善戦したものの、最終的には広がりを欠いた。
4.野党からの逆転候補はあるか?
現在の情勢では自民党内の後継争いが注目されていますが、国民民主党の玉木雄一郎代表や、日本維新の会の馬場伸幸代表など、「保守系野党」の存在感もじわじわと高まりを見せています。
特に維新は地方選挙での躍進が続いており、次期衆院選で「政権交代」まではいかなくても、連立を含めた再編シナリオも視野に入っています。
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2023年の統一地方選で、維新は東京でも議席を伸ばし、地方から国政への影響力を強めつつある。
結論:鍵を握るのは「関税協議」と「総裁選のタイミング」
岸田首相は「8月1日の対米関税協議」を重視しており、ここで一定の成果を出せれば延命も可能とされます。しかし、成果が出なければ一気に辞任ムードが高まり、次期首相選びが本格化するでしょう。
石破氏のように「政策重視」の候補か、河野氏のように「改革推進」の候補か、それとも高市氏のように「保守回帰」の候補か――。日本の進路を決める政局が、いま静かに動き出しています。