2025年7月中旬、日本列島では再び大気の状態が不安定となりつつあります。特に注目されているのが、日本の東側にある太平洋高気圧が勢力を西へと拡大している現象です。この動きがもたらすのは、「夏らしい天気」だけではありません。湿った空気の流れ込みが西へと広がることで、東海地方から西日本各地で警報級の大雨となる可能性があるのです。
今回は、この気象メカニズムと、具体的な警戒エリア、取るべき防災行動について詳しく解説します。
◆ 今、何が起きているのか?〜高気圧の西進とは〜
日本の東側にある「太平洋高気圧」は、夏になると勢力を拡大して日本列島を覆います。例年よりも早く強まり始めている2025年の太平洋高気圧は、現在西日本方面へと勢力を拡大し、広範囲にわたって湿った空気を送り込んでいる状況です。
この高気圧の縁(へり)に沿って南から湿った空気が次々と流れ込み、地上付近に暖かく湿った空気、上空には冷たい空気が入り込むことで、大気の状態が非常に不安定になるのです。
◆ 湿った空気の「西進」がもたらすリスク
これまで九州北部や中四国地方で顕著だった湿った空気の流れ込みが、現在は東海地方から関西、中国地方、四国、九州南部まで広がっており、以下のような深刻なリスクが指摘されています。
● 線状降水帯の発生
湿った空気が一箇所に集中して流れ込み続けることで、積乱雲が次々と同じ場所に発生する「線状降水帯」が発生しやすくなります。これは短時間で記録的な豪雨を引き起こし、都市部の浸水や山間部の土砂災害を招く恐れがあります。
● 地盤の緩みと土砂災害
すでに梅雨やこれまでの雨で地盤が緩んでいる地域では、わずかな雨量でも斜面崩壊や土石流、地すべりが発生するリスクが高まっています。
● 河川の増水と氾濫
特に中小河川では、短時間に大量の雨が降ると急激な増水・氾濫の危険性が高まります。排水能力を超えた水が都市部に流れ込み、住宅街の浸水を引き起こす可能性も。
◆ 警報級の大雨が予想される地域(7月17日〜18日)
- 東海地方:愛知・岐阜・三重
- 特に山間部では土砂災害に要警戒。
- 近畿地方:京都・大阪・兵庫・奈良
- 都市部の浸水リスクが高く、排水路の確認を。
- 中国地方:岡山・広島・山口
- 濃尾平野や吉備高原地域での河川氾濫注意。
- 四国地方:高知・徳島・愛媛
- 山間部と沿岸部の両方で浸水・崖崩れに注意。
- 九州北部:福岡・佐賀・長崎
- すでに地盤が緩んでいる地域では避難準備を。
◆ 今すぐできる防災対策
- ハザードマップの確認
- 自宅が土砂災害警戒区域や浸水想定区域に該当するかチェック。
- 避難所と避難経路の把握
- 家族全員で避難ルートを確認し、明るいうちに避難できるよう準備。
- スマホで気象情報を常にチェック
- 気象庁や自治体の緊急情報を受け取れるよう設定。
- 非常用持ち出し袋の確認と点検
- 飲料水、常備薬、携帯充電器、懐中電灯などを忘れずに。
- 車の移動は慎重に
- 雨の中での避難は危険。川や橋、アンダーパスは通らない。
◆ 気象庁の警告:「災害発生の危険度は急激に高まる可能性あり」
気象庁は7月17日朝、全国的に「顕著な大雨に関する情報(警報級の可能性あり)」を発表しており、特に西日本では、これまで“安全”とされていた地域にも突発的に大雨が降る可能性があります。
「まだ降ってないから大丈夫」は通用しません。大雨は、降り始めると一気に災害級になるのが最近の特徴です。
◆ 終わりに:気象の変化は命に直結する
高気圧の勢力拡大という一見「良い天気の兆し」の裏に、これほど大きなリスクが潜んでいるのです。
今回のようなケースでは、特に予兆の少ない災害が起こるため、早め早めの行動が命を守るカギとなります。
どうか最新の気象情報に注目し、今すぐ防災行動に移ってください。
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