なぜ都民の支持を得られなかったのか?
2025年の東京都議会議員選挙で、れいわ新選組の候補者は全員落選という厳しい結果となりました。
国政では一定の存在感を示している同党が、なぜ東京という最大都市で議席ゼロという結果になったのか?
この記事では、れいわ新選組の選挙戦略・候補者・支持層・都民の反応などをもとに、**「なぜ支持を得られなかったのか?」**を具体例とともに解説していきます。
◆ れいわ新選組の選挙結果(2025年都議選)
- 公認候補数:11名(全員落選)
- 得票数合計:約9.3万票(都内全体で1.8%程度)
- 1人も当選ラインに届かず
- 特に狙っていた東京23区中心部(新宿、杉並、世田谷など)でも厳しい結果に
◆ なぜ支持を得られなかったのか?主な理由3つ
① 地域密着型の活動が不足していた
都議選では、国政選挙以上に**「地域密着の活動力」や「地元での認知度」**がモノを言います。
しかし、れいわの候補者の多くは、
- 他地域からの“落下傘候補”
- 政策ビラ配布や街頭演説は活発でも、地元自治会やPTA、地域団体とのつながりが薄い
というケースが目立ちました。
▷ 例:中野区の候補者
れいわ候補は駅前中心の演説を繰り返しましたが、地元の医療・子育て施策や区民ニーズに具体的に応える政策が乏しく、無所属候補や都民ファースト候補に票を奪われました。
② 「強い言葉」は届いたが、「実現性」に疑問
れいわの街頭演説や動画はインパクトがありますが、都議会選では**政策の“具体性と実現性”**が問われます。
- 「東京を変える」
- 「格差をなくす」
- 「全員を助ける」
といったスローガンは響く一方で、
- 都政で何をどう実現するのか?
- 財源はどうするのか?
- 他会派とどう協調して進めるのか?
といった点で説得力に欠けました。
▷ 例:世田谷区の若年層の声
「れいわの主張には共感するけど、“都政でできること”と“国政の話”が混ざっていて分かりづらかった」
③ “山本太郎依存”の限界
れいわ新選組は、党首・山本太郎氏のカリスマ性で急成長してきた政党です。しかし今回の都議選では、
- 山本氏が他の選挙区に応援に入る時間が限られた
- 地方選挙では個々の候補の顔と実績が問われる
- ネット支持はあっても、「実際の投票行動につながらない」構造
が顕在化しました。
▷ SNSでは「支持」の声多数
れいわの発信力は高く、YouTube再生数やX(旧Twitter)での拡散力は抜群。
にもかかわらず、投票率が低い若年層が支持母体のため、票に結びつかなかったのです。
◆ れいわの候補者たちは何を訴えていたのか?
れいわの都議選候補者は共通して次のような政策を掲げていました。
- 公共交通の無料化
- 保育・介護の完全無償化
- 無条件の給付型支援(生活困窮者向け)
- 災害時のインクルーシブ避難所整備
これらは非常に意義ある政策ですが、**予算規模や都議会での与党構成などとの“現実との距離”**が大きく、現実主義的な有権者には響きませんでした。
◆ 有権者のリアルな声
● 30代・共働き夫婦(豊島区)
「理想論が多くて、正直“他の政党よりはマシ”という理由で投票しにくい」
● 60代・介護中の主婦(杉並区)
「保守系が嫌だから期待したけど、都政と関係ない話が多すぎた」
● 20代・学生(世田谷区)
「応援したかったけど、アルバイトで投票日に行けなかった。ネットでは一番話題だったのに…」
◆ 今後のれいわ新選組の課題とは?
- 地域密着型の政治スタイルへの転換
→ 地元ボランティア、町会、学校との連携強化が不可欠 - “国政型メッセージ”からの脱却
→ 「都政」で何ができるかをわかりやすく提示する必要 - 支持層の“投票率向上”策
→ 若年層に頼るだけでなく、幅広い世代に支持を広げる必要がある
◆ まとめ:共感だけでは勝てない地方選挙の現実
れいわ新選組は、多くの人の“心”には届いていたかもしれません。
しかし、地方選挙では「心」だけでなく「地に足のついた行動」が問われます。
今回の都議選で見えたのは、「共感の政治」と「票を得る政治」のギャップでした。
次のステップとして、都民の生活に根差した政治活動をどう展開していくか。
れいわ新選組にとって、今回の全員落選は**“転機”とするチャンスでもあります**。