選挙が近づくと、急に街が賑やかになります。
駅前には議員の演説。ポストにはビラ。SNSには「私の実績!」のオンパレード。
でも、あなたも一度くらいこう思ったことありませんか?
「え、それって本当にその人の手柄なの?」
「現場で動いてるのは役所の人たちでしょ?」
まさにその通り。今日は「品のない手柄アピール」の裏側と、本当に私たちが見るべきポイントを具体例つきで解説していきます。
■ “成果アピール”の定番パターン、見覚えありませんか?
選挙が近づくと、こんなフレーズをよく見かけます。
- 「私の働きかけで実現しました!」
- 「この制度、実は私が提案したんです!」
- 「私の実績が形になりました!」
もちろん、議員が政策に関与することはあります。
でも、それを**「全部自分がやったかのように語る」のは、はっきり言って“品がない”**んです。
■ 具体例①:子育て支援策を“私の実績”と言い張る市議
ある市では、2024年から「第2子以降の保育料無償化」がスタート。
複数の議員がSNSでこんな投稿をしていました。
「子育て世代の声を受け、私の提案が形になりました!」
「この政策は私が市議会でずっと主張してきたものです!」
でも、事実を調べてみると…
- 5年以上前から市民からの陳情が複数提出
- 担当課が制度設計を行い、財源の調整に苦慮
- 複数会派が同様の提案を出し、議会全体で調整
- 実務は市の保育課・財政課・子育て支援センターが一丸で対応
つまり、「市民の声+行政職員の粘り強い努力+議会全体の合意形成」でやっと実現した施策。
それを「私の実績」と一点突破で主張するのは、明らかにアンフェアです。
■ 具体例②:災害時の物資支援を“俺が言ったから動いた”議員
2023年の大雨災害の際、とある県議はSNSでこう発信しました。
「私が緊急支援を要請したところ、県がすぐ動きました!」
ところが、その裏側には:
- 既に県危機管理部が24時間体制で情報収集
- 消防・警察・保健所が即時対応を開始
- 被災自治体の職員が避難所設営や物資調整に追われていた
このように、議員が“口を出す”前から動いているのが現場の職員たちです。
発信力では政治家が勝るかもしれませんが、汗をかいているのは現場なんです。
■ 実名で発信できない職員たちの“無名の奮闘”
公務員は中立性を求められる立場のため、自分の仕事をSNSで発信したり、「これは自分がやりました!」とアピールすることができません。
そのため、どれだけ頑張っても広報では「部署名」だけ。
そして、その成果はいつの間にか議員の「実績」として消費されていく――。
この“構造的な不公平”を、私たち有権者がちゃんと理解しておく必要があります。
■ 有権者が持つべき“確かな目”とは?
政治家の言葉を鵜呑みにせず、「本当にその人がやったのか?」を見極めるコツがあります。
✅ 見るべきポイント:
チェック項目 | なぜ重要? |
---|---|
その施策は複数の議員が同時に主張していたか? | 合意形成型なら“個人の手柄”ではない |
役所の担当課が長年準備していたか? | 制度実現までの“下積み”を確認 |
実行にあたって、議員が何をしたのか具体的に書かれているか? | “言っただけ”では手柄にはならない |
失敗や課題にも向き合っているか? | 成果だけを誇る姿勢には注意 |
■ 最後に:議員も職員も“公共のため”に働いている
もちろん、すべての議員が「手柄泥棒」なわけではありません。
実直に市民と向き合い、裏方として支える議員も確かにいます。
でも、それと同じくらい――
いや、それ以上に頑張っているのが自治体職員や公務員です。
だからこそ、私たち有権者は「大きな声」や「派手な言葉」に惑わされず、
“誰が本当に地域の未来のために動いているのか”を見極める目を持ちましょう。