それでも首都圏で洪水被害のリスクが高まる理由とは?

例年なら、5月末から6月初旬にかけて、日本の南の海上で台風が1〜2個発生し、ニュースを賑わせるはずの時期。しかし、2025年の今年は「台風ゼロ」状態が続いています。

「台風が来ないなら安心なのでは?」
「洪水なんて心配いらないのでは?」

そう思った方、ちょっと待ってください。
実は“台風がない=安全”というわけではなく、むしろ洪水リスクが高まっているのです。

本記事では、今年の気象の特徴と、首都圏で起こりうる具体的な水害リスクについてわかりやすく解説します。


■ 台風が来ない2025年初夏、その理由は?

気象庁の発表によれば、2025年の太平洋高気圧が例年より北に張り出しているため、
南海上での対流活動が抑制され、台風の卵(熱帯低気圧)が発生しにくい状態が続いています。

また、インド洋の海水温が上昇しており、台風エネルギーの源が分散されていることも影響しています。

つまり、台風が“少ない年”になる可能性があるということです。


■ 台風が来ないのになぜ洪水リスクが高まるのか?

理由はズバリ、梅雨前線の活発化+都市構造の脆弱性です。

◎ 理由①:台風が来ない代わりに“線状降水帯”が多発

台風が来ない年は、南からの湿った空気が梅雨前線に溜まりやすく、
結果として**“線状降水帯”による局地的豪雨が頻発しやすくなる**傾向があります。

実際、2023年・2024年も、台風以外による水害(線状降水帯やゲリラ豪雨)で甚大な被害が出ました。

▶ 具体例:2023年6月 板橋区・練馬区での床上浸水被害

  • 梅雨前線が活発化 → 2時間に100ミリを超える豪雨
  • 地下鉄有楽町線の一部が一時ストップ
  • 複数の中小河川(白子川、石神井川)が氾濫危険水位に

→ 台風がなくても、雨だけで都市機能がマヒする事態が起こりうるのです。


◎ 理由②:都市型洪水は「短時間」「予測困難」

首都圏では、アスファルトとコンクリートに覆われた面積が非常に広く、
雨水の自然な浸透が困難です。

特に心配なのが:

  • 下水道の容量オーバーによるマンホール逆流
  • 地下空間への浸水(地下鉄・地下街)
  • 小河川の急激な増水と氾濫

▶ 具体例:2020年の中野区・杉並区ゲリラ豪雨災害

  • わずか1時間で約80ミリの集中豪雨
  • 地下室・半地下住宅を中心に50件以上が床上浸水
  • 公園地下にある貯水施設も限界を超え、あふれる

■ 特に危ないのは「下町エリア」+「坂のある地域」

洪水リスクが高いのは、次のような地形と構造をもつ場所です:

  • 荒川・隅田川の氾濫想定地域(足立区、葛飾区、江東区など)
  • 谷地形・坂下に住宅が集中する場所(世田谷区・目黒区など)
  • 商業ビルの地下空間が多い新宿・池袋・渋谷駅周辺

▶ 専門家の声(国交省・河川管理者)

「近年は“50年に一度”の豪雨が、ほぼ毎年どこかで起きている。
台風が来ないからといって備えを怠るのは、かえって危険」


■ 2025年、首都圏がとるべき備えは?

✅ ハザードマップの確認

各自治体の公式サイトで、最新の浸水想定マップをチェックしましょう。
想定より広範囲に被害が出るケースもあるため、自宅と通勤ルート両方の確認が大切です。

✅ 在宅勤務・時差出勤の準備

線状降水帯は深夜〜早朝に発生することが多いため、無理な出勤は避ける選択肢も重要です。

✅ 防災グッズの見直し

浸水対策としては、以下を準備しましょう:

  • 土のう代わりになる簡易止水バッグ
  • 電池式ライト・モバイルバッテリー
  • 浸水に強いスニーカー・長靴
  • ペットボトルの飲料水と非常食(最低3日分)

■ まとめ:「台風が来ない年」の落とし穴にご注意を

「今年は台風が少ないからラッキー!」
確かに一見そう思いがちですが、その裏で別の災害リスクが高まっていることを忘れてはいけません。

  • 梅雨前線+線状降水帯による突然の豪雨
  • 都市型洪水による生活・交通インフラの麻痺
  • 洪水・内水氾濫による建物・家電・車の被害

これから本格的な梅雨入りを迎える首都圏。
今のうちに、**「台風が来なくても水害は起こる」**という意識で防災対策をしておきましょう。

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