「40代や50代で会社を辞めて、自分の好きなことだけをして暮らしたい…」そう夢見る方は少なくないでしょう。近年注目されている「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」は、経済的自立を達成し、早期退職を実現する生き方です。しかし、理想ばかりではなく、実際にFIREを達成した人には、やってみて初めて分かった現実があります。本記事では、40代50代で早期退職を検討しているあなたに向けて、FIRE経験者のリアルな声をもとに、そのメリットとデメリットを具体例を交えながら徹底解説します。
早期退職(FIRE)とは?改めてその定義を確認
FIREとは、「経済的自立(Financial Independence)」を達成し、会社からの給与に頼らずに生活できる状態になった上で、「早期退職(Retire Early)」するというライフスタイルです。一般的には、年間支出の25倍の資産を築くことで、その資産を年利4%で運用すれば、元本を減らすことなく生活できると考えられています。
FIREして分かった現実:経験者が語るメリット
まずは、実際にFIREを達成した人が感じているメリットについて、具体的な例を交えながら見ていきましょう。
1. 時間からの解放:自分のための自由な時間
最大のメリットは、何と言っても「時間からの解放」です。毎日の通勤や仕事のプレッシャーから解放され、自分の好きなことに時間を使えます。
例:45歳でFIRE達成・山田さん
IT企業で管理職として多忙な日々を送っていましたが、FIRE後は、かねてからの趣味だった油絵に没頭。毎日アトリエにこもり、作品制作に励んでいます。また、平日の空いている時間に旅行に出かけるなど、時間にとらわれない自由な生活を満喫しています。
2. ストレスからの解放:心身の健康を取り戻す
仕事によるストレスから解放され、心身の健康を取り戻せることも大きなメリットです。
例:52歳でFIRE達成・佐藤さん
営業職としてノルマに追われる毎日でしたが、FIRE後は、積極的な運動やウォーキングを始め、食生活も改善。以前は不眠に悩まされていましたが、今ではぐっすり眠れるようになり、心身ともに健康になったと感じています。
3. 人間関係の選択:本当に付き合いたい人とだけ過ごす
職場の人間関係の悩みから解放され、自分が本当に大切にしたい人とだけ付き合えるようになります。
例:48歳でFIRE達成・田中さん
職場の人間関係に疲弊していましたが、FIRE後は、気の合う友人との交流を深めたり、地域のボランティア活動に参加したりと、より充実した人間関係を築いています。
4. 新しい挑戦への意欲:自分の興味関心を探求する
時間に余裕ができることで、これまで諦めていた新しいことに挑戦する意欲が湧いてきます。
例:50歳でFIRE達成・吉田さん
若い頃から興味があったプログラミングをFIRE後に独学で習得。今では、趣味でWebサイトを制作したり、アプリ開発に挑戦したりと、新しいスキルを身につける喜びを感じています。
FIREして分かった現実:経験者が語るデメリット・注意点
一方で、FIREには理想ばかりではなく、実際に経験したからこそ分かるデメリットや注意点も存在します。
1. 経済的な不安:インフレや予期せぬ支出のリスク
FIREの根幹である経済的な安定ですが、インフレや予期せぬ病気、家族の状況変化などにより、資産が想定よりも早く減少してしまうリスクがあります。
例:40歳でFIRE達成・小林さん
FIRE後数年で、世界的な経済危機が発生。運用していた資産が大きく減少し、一時的に経済的な不安を感じました。その後、リスク分散を徹底するなど、ポートフォリオを見直す必要に迫られました。
2. 社会との孤立感:所属していたコミュニティを失う
会社という所属していたコミュニティを失うことで、社会との繋がりが希薄になり、孤立感を感じることがあります。
例:55歳でFIRE達成・中村さん
現役時代は会社の同僚との交流が多かったのですが、FIRE後は会う機会が減り、寂しさを感じるようになりました。積極的に地域の活動に参加するなど、新しいコミュニティを作る努力が必要だと痛感しています。
3. 生きがいや目標の喪失:無目的になりやすい
仕事という目標を失うことで、生きがいを見失い、無目的になってしまうことがあります。
例:43歳でFIRE達成・伊藤さん
FIRE当初は自由な時間を謳歌していましたが、数ヶ月後には「何のために生きているんだろう?」と感じるように。その後、ボランティア活動を始めるなど、新たな生きがいを見つけるまで時間がかかりました。
4. 健康保険や年金:制度への理解と備えが必要
会社員時代とは異なり、国民健康保険や国民年金への切り替え手続き、将来の年金受給額などを自分で管理する必要があります。制度を理解しておかないと、後々困る可能性があります。
例:49歳でFIRE達成・加藤さん
健康保険や年金の制度について十分に理解していなかったため、FIRE後に手続きで戸惑う場面がありました。事前にしっかりと調べておくことの重要性を痛感しました。
5. 周囲の理解:価値観の違いに悩むことも
早期退職という生き方は、まだ一般的に理解が得られにくい場合があります。友人や家族から理解を得られず、孤独を感じることもあるかもしれません。
例:51歳でFIRE達成・大島さん
FIREしたことを友人に話したところ、「もったいない」「暇にならないの?」といった反応が多く、自分の価値観との違いを感じました。FIREについて理解してくれる仲間を見つけることも大切だと感じています。
40代50代でFIREを目指すなら知っておくべきこと
40代50代でFIREを目指すのであれば、以下の点を考慮しておくことが重要です。
1. 経済的基盤の確立: 退職後の生活に必要な資金を慎重に計算し、計画的に資産形成を行う必要があります。目標額だけでなく、リスク管理も重要です。
2. 退職後のライフプラン: FIRE後の具体的な生活設計を立てておくことが、後悔しないための鍵となります。趣味、学び、社会貢献など、複数の選択肢を検討しましょう。
3. 社会との繋がり: 会社以外のコミュニティに積極的に参加し、社会との繋がりを維持する方法を考えておきましょう。
4. 健康管理: FIRE後の自由な時間を楽しむためには、心身ともに健康であることが大切です。積極的な運動や健康的な生活習慣を心がけましょう。
5. 家族の理解と協力: FIREは家族の生活にも大きな影響を与えます。事前にしっかりと話し合い、理解と協力を得るようにしましょう。
まとめ:FIREはあくまで手段。自分らしい豊かな人生を送るために
FIREは、時間やストレスから解放され、自分の好きなことに時間を使える魅力的な生き方です。しかし、経済的な不安や社会との孤立、生きがいの喪失といった現実も存在します。FIREを目指すのであれば、メリットとデメリットの両方をしっかりと理解し、周到な準備を行うことが不可欠です。FIREはあくまで、自分らしい豊かな人生を送るための「手段」の一つ。本当に大切なのは、早期退職という目標を達成することではなく、その後の人生をどのように生きるかです。本記事が、あなたが後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。