◆ はじめに:「朝・昼・晩とごはんを食べる」ことが贅沢に?
かつて、日本人にとって「一日三食きちんと食べる」ことは、当たり前の生活の一部でした。
しかし、2024年から続く物価高騰、賃金停滞、不安定な雇用環境の中で、「三食きちんと食べる」ことさえ難しくなってきています。
最近の調査では、20代〜40代の約3割が“一日2食以下”の生活をしているという結果も出ています。
日本はいつから、「普通に食べることができない国」になってしまったのでしょうか?
◆ 現実に起きている「三食食べられない」生活の例
▶ 例1:一人暮らしの非正規労働者(30代・男性)
「朝は食べない。昼は菓子パン1個。夜はインスタントラーメンか納豆ごはん。栄養?そんなの気にしてたら生活できない。」
▶ 例2:子育て中のシングルマザー(40代・女性)
「子どもにはできるだけ食べさせたい。でも自分の朝と昼は抜くことも多い。正直、食べるお金が足りない。」
▶ 例3:大学生(20歳)
「奨学金とバイト代では生活できない。朝は白湯、昼はなし、夜だけ食べる日が多い。体重も落ちたし、集中力も続かない。」
こうした例は、もはや“例外”ではありません。
◆ データで見る「三食難民」時代の到来
▶ 総務省・家計調査(2024年)
- 食料支出(1世帯あたり)が前年比+9.4%
- 外食費は+12.1%、加工食品・米・パンも軒並み上昇
▶ 厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2024年速報値)
- 朝食を「ほぼ毎日食べない」人:全年代平均で26.8%
- 「1日2食以下」の生活者:34.5%
▶ 東洋経済『食と貧困』特集(2024年6月号)
- 都内に住む30代男性の1日の食費平均は400円以下
- 食費を切り詰めるために「週に3日は夕飯だけ」という人が多数
◆ どうしてこうなったのか?背景にある5つの問題
① 賃金が上がらない
- 実質賃金は2023年に13カ月連続マイナス、2024年も続落。
- 一方、物価は毎月上昇。「給与は横ばい、支出だけ増える」悪循環。
② 非正規雇用と不安定な働き方
- 非正規雇用者は全労働者の約37%(約2,000万人)
- 手取りが少なく、社会保険やボーナスなし。「三食食べる余裕がない」現実
③ 物価高騰の連続
- 円安・エネルギー価格高騰・原材料費増加により、食料品は連続的に値上げ
- 特に、パン・米・油・卵・牛乳など、生活必需食品の値上げが直撃
④ 支援の不足と自己責任論
- 政府は「賃上げ要請」ばかりで、実効的な生活支援は乏しい
- 「食べられないのは自己責任」と切り捨てられる風潮も強まっている
⑤ 家族構成の変化と孤食化
- 単身世帯が増加し、自炊が困難な人が増える
- 外食や中食(コンビニ・弁当)に頼らざるを得ず、コストがかさむ
◆ 食べることは「権利」のはずなのに
「食べる」という行為は、人間の基本的な権利であり、生存の最低条件です。
にもかかわらず、日本では“普通の人”が、空腹を我慢して働き、学んでいる現実があります。
● 昼を抜いて電車で気分が悪くなった会社員
● 子どもにごはんを与えるために、自分は水でしのぐ母親
● 食事を抜きすぎて、授業中に貧血で倒れた学生
こうした例は、日常の中に埋もれているだけで、実はいたるところにあります。
◆ まとめ:このままでいいのか、「三食食べられない国」
- 一日三食を安心して食べられない社会
- 食べるために、命や健康が犠牲になる社会
- 「食べる努力」が「自己責任」で済まされる社会
それは、どこか遠い国の話ではなく、私たちが今暮らしている日本の姿です。
「もう三食食べられない国になってしまった」ことを、
「仕方ない」で終わらせるのではなく、どうしたら元に戻せるのか、未来を変えられるのかを、私たちは真剣に考えるべき時期に来ています。