近年、著名人の不倫報道が後を絶ちませんが、もしダブル不倫、つまり既婚者同士の不倫が発覚した場合、当事者にはどのような法的責任が生じるのでしょうか?今回は、具体的な事例を交えながら、ダブル不倫によって引き起こされる可能性のある法的問題を徹底的に解説していきます。

ダブル不倫とは?その定義と特異性

まず、「ダブル不倫」とは、配偶者のある者同士が不貞行為(肉体関係を持つこと)を行うことを指します。通常の不倫と同様に、民法上の不法行為に該当しますが、被害者となる配偶者が複数存在するという点で、問題が複雑化する可能性があります。

民事上の責任:慰謝料請求

ダブル不倫が発覚した場合、最も一般的に問題となるのが慰謝料請求です。不倫された側の配偶者は、不倫をした配偶者とその不倫相手に対して、精神的苦痛に対する損害賠償として慰謝料を請求することができます。

【具体例1:それぞれの配偶者からの慰謝料請求】

Aさん(既婚男性)とBさん(既婚女性)が不倫関係にあった場合、Aさんの妻であるCさんと、Bさんの夫であるDさんは、それぞれAさんとBさんに対して慰謝料を請求することができます。

この場合、CさんはAさんとBさんの両方に対して、Dさんも同様にAさんとBさんの両方に対して慰謝料を請求することが可能です。ただし、最終的な慰謝料の金額は、不倫の期間、態様、当事者の収入や社会的地位、離婚の有無など、様々な要素を考慮して決定されます。

【具体例2:一方が離婚を選択した場合の慰謝料増額】

上記の例で、もしCさんがAさんの不倫を理由に離婚を選択した場合、離婚に至った精神的苦痛も慰謝料の算定に考慮されるため、慰謝料の金額が増額される可能性があります。同様に、DさんがBさんの不倫を理由に離婚した場合も同様です。

離婚問題への発展

ダブル不倫は、夫婦関係を破綻させる大きな原因となり得ます。不倫された側の配偶者は、民法770条1項に基づき、裁判所に離婚を請求することができます。

【具体例3:ダブル不倫が原因で夫婦双方が離婚を求めるケース】

Eさん(既婚男性)とFさん(既婚女性)のダブル不倫が発覚し、それぞれの配偶者であるGさんとHさんが、EさんとFさんの不貞行為を理由に離婚を求める訴訟を起こしたとします。この場合、裁判所はEさんとGさん、FさんとHさんのそれぞれの夫婦関係が破綻していると認め、離婚を認める可能性があります。

また、EさんとFさんの間でも、お互いの配偶者との離婚が成立した後、再婚を考えるケースもあるかもしれませんが、それぞれの離婚原因が不倫である場合、社会的な非難は避けられないでしょう。

親権問題への影響

夫婦間に未成年の子供がいる場合、離婚に伴い親権者を決定する必要があります。配偶者の不倫は、親権の判断に影響を与える可能性があります。

【具体例4:不倫をした親の親権が認められにくいケース】

Iさん(既婚男性)がJさん(既婚女性)とダブル不倫をし、Iさんの妻であるKさんが離婚と親権を求めた場合、Iさんの不貞行為は、子供の福祉を害する可能性のある行為として考慮されることがあります。裁判所は、子供の安定した養育環境を重視するため、不倫をしたIさんよりも、子供の世話を主に担ってきたKさんを親権者として指定する可能性が高くなります。

ただし、不倫をした事実のみで親権が否定されるわけではなく、子供の年齢、性格、これまでの養育状況、両親の監護能力など、様々な要素が総合的に判断されます。

刑事責任の可能性は?

不倫は、原則として刑法上の犯罪には該当しません。しかし、例外的に刑事責任が問われるケースがあります。

【具体例5:強姦罪や重婚罪に該当する場合】

例えば、不倫関係において暴行や脅迫があった場合は、強姦罪などの уголовное преступлениеに該当する可能性があります。また、法律上の婚姻関係があるにもかかわらず、重ねて婚姻した場合(重婚罪)も刑事責任を問われることになります。ただし、通常のダブル不倫のケースでこれらの刑事犯罪が成立することは稀です。

ダブル不倫における慰謝料請求の注意点

ダブル不倫の場合、慰謝料請求を行う上でいくつかの注意点があります。

  • 証拠の重要性: 不貞行為の事実を証明するための確実な証拠(メール、SNSのやり取り、写真、 видео、探偵の報告書など)が不可欠です。
  • 請求相手の特定: 不倫をした配偶者だけでなく、不倫相手にも慰謝料を請求する場合は、相手の氏名、住所などの情報を正確に把握する必要があります。
  • 時効: 慰謝料請求には時効があります。不貞行為の事実を知ってから3年、または不貞行為があった時から20年を経過すると、請求権が消滅する可能性があります。

まとめ

ダブル不倫は、当事者だけでなく、その配偶者や家族にも大きな精神的苦痛を与える行為です。発覚した場合、慰謝料請求や離婚問題、さらには親権問題に発展する可能性があり、法的責任も決して軽いものではありません。

もし、ご自身の配偶者や相手の配偶者の不倫に悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、法的な権利を守り、精神的な負担を軽減することができるはずです。


免責事項: この記事は一般的な法的情報を提供するものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な法的判断や行動については、必ず専門家にご相談ください。

投稿者 ブログ書き