2025年アメリカ大統領選で再び注目を集めるドナルド・トランプ氏。その最大の公約の一つが「輸入品すべてに10%、中国製品には最大60%の関税を課す」という過激な保護主義政策です。
この政策はアメリカの雇用を守る一方で、世界中に深刻な経済的連鎖反応を引き起こす恐れがあります。とりわけ日本においては、製造業・輸出業を中心に、新卒・若年層の就職難=“第二の就職氷河期”を招くリスクが現実味を帯びてきました。
「関税」が就職とどう関係するのか?
関税によって輸出産業がダメージを受けると、企業の利益が圧迫されます。その結果、企業は以下のような対応を取ります:
- 海外向け事業の縮小
- コスト削減(=人件費抑制)
- 採用計画の見直し・中止
つまり、新卒・若手が最初に「切られる」対象になるのです。
【具体例①】自動車業界の採用凍結の危機
日本の自動車産業は、トランプ関税による最大の被害者の一つです。たとえばトヨタは、年間200万台近くをアメリカに輸出しています。そこに10%以上の関税が課されれば、現地での販売価格が上がり、競争力が低下します。
▼事例:2024年秋、ホンダは北米販売の減速を理由に大学新卒の採用人数を前年比30%削減。内定者からは「急に内定取り消しの話が出た」との声も上がった。
自動車だけでなく、部品メーカーや関連物流業者も採用を手控える動きが出始めており、若年層の就職機会はさらに狭まります。
【具体例②】地方の中小企業が連鎖的に採用停止
トランプ関税の影響は、大企業だけでなく、部品供給や組み立てを担う中小企業にも波及します。
▼例:岐阜県の金属加工会社では「米国向け製品の取引停止により受注が3割減」。2025年度の高校新卒採用予定をゼロに変更した。
都市部よりも産業構造が限られている地方では、これが「若者の働く場そのものが消える」ことにつながります。
【具体例③】理系学生の“実験環境喪失”とキャリア断絶
高性能部品や半導体は、日中米の連携のもとで製造・販売が行われています。そこに60%の対中関税が導入されると、研究開発用部品の調達にも支障が出ます。
▼例:某国立大学の工学部では「米国市場向けの共同研究プロジェクトが白紙」。修士課程の学生はインターン先から「開発プロジェクト中止」の連絡を受け、卒業後の進路変更を余儀なくされた。
技術系・研究職志望の学生にとって、キャリア形成そのものがストップしかねない状況が現実になっています。
就職氷河期の再来とは何か?
かつて1990年代後半~2000年代前半にかけて、日本では「就職氷河期」と呼ばれる時代がありました。経済不況で企業が一斉に採用を絞り、一度も正社員になれなかった若者が非正規のまま年齢を重ねるという悲劇的な世代です。
今、トランプ関税をきっかけに、第二の氷河期世代が生まれる可能性が高まっているのです。
特に危険なのは「2026年卒」以降の新卒世代
トランプ氏が2025年に再選され、関税政策が同年中に実施されれば、翌年からの新卒採用計画に即反映されると見られています。
- 「選考が始まる前に企業が説明会を取りやめ」
- 「春採用は見送り、秋採用も検討中止」
- 「内定者への待遇提示が渋くなる」
こうした動きが急増し、「やっとコロナ後に明るくなってきた雇用環境」が再び冷え込むのは避けられません。
どう備えるか?個人と社会に求められる視点
1. 若者自身の備え
- 海外依存度の高い業界(自動車・電機・機械)を志望するなら、リスク分散として複数業種を検討
- デジタル・ローカル・医療・インフラ系の比較的安定した業界にも目を向ける
- グローバル企業よりも「内需型中堅企業」にもチャンスあり
2. 社会的な支援
- 政府による若者就労支援の強化
- 企業に対して雇用維持への補助金や助成制度
- 大学・高校によるキャリア教育の充実
結論:関税が若者の人生を左右する時代
一国の政治的な判断が、日本の若者の将来に深刻な影響を与える時代が再び訪れようとしています。トランプ関税の本質は「貿易戦争」だけではなく、若者の雇用とキャリア形成をも巻き込む“社会的リスク”であることを忘れてはいけません。