近年、アメリカで深刻化しているフェンタニル問題が、日本にも影を落とし始めています。米麻薬取締局(DEA)は、中国の犯罪組織によるフェンタニル密輸に日本ルートが関与している可能性を掴み、調査を本格化させています。
フェンタニルとは何か
フェンタニルはモルヒネの約50倍、ヘロインの約30倍の強さを持つ合成オピオイドです。もともとは医療用の鎮痛薬として使用されていますが、違法に製造・流通されるケースが急増。アメリカでは年間7万人以上がフェンタニル関連の過剰摂取で命を落としており、「死の薬」とも呼ばれています。
日本が新たなルートに?
これまでフェンタニルの主な密輸ルートは、
- 中国から直接アメリカへ
- メキシコを経由してアメリカへ
といった経路が中心でした。ところが、近年は日本を経由地とする新ルートが確認されつつあります。
具体例として、
- 日本国内で見つかった小包に少量のフェンタニルが含まれていたケース
- 海外から日本に滞在する留学生や技能実習生を“運び屋”に利用する疑い
- ECサイトやダークウェブを介して、日本の住所を「中継地点」とする取引
が報告されています。
なぜ日本なのか
日本が経由地として注目される理由には、
- 物流網の信頼性 ― 国際郵便や宅配の精度が高く、チェックをすり抜けやすい。
- 規制の甘さ ― アメリカやメキシコに比べると、オピオイド取り締まりの歴史が浅い。
- 観光立国化 ― 訪日外国人や在留外国人が急増しており、犯罪組織が人脈を作りやすい。
といった背景があります。
社会への影響と懸念
もし日本にフェンタニルが広がれば、社会的リスクは極めて大きいです。
- 依存症患者が急増し、医療や福祉に深刻な負担
- 若者が「合法風のサプリ」と誤解して服用する危険
- 反社会勢力が新たな資金源を確保し、治安悪化を招く
実際、2023年には大阪府警がフェンタニルを所持していた中国人留学生を逮捕する事件が起きています。これは氷山の一角にすぎないとみられています。
今後の展望
DEAは日本の警察庁や厚労省と連携し、密輸ルートの特定を進めています。日本にとってもこれは他人事ではなく、国内の薬物対策を強化する転機となりそうです。
- 税関での荷物検査の強化
- ダークウェブ取引の監視体制の拡充
- 薬物依存症に関する啓発教育の充実
が求められるでしょう。
まとめ
フェンタニル密輸は、アメリカの問題から「日本を巻き込む問題」へと拡大しつつあります。中国組織が日本を経由地とする可能性は現実的であり、国際協力と国内規制の強化が急務です。
今後、日本社会が直面するリスクを直視し、早急な対応が求められています。
――あなたは「日本でフェンタニル問題が現実化する危険性」についてどう思いますか?