本当に「安定した仕事・生活できる給料・ほんの少しのゆとり」さえあれば、子どもは増えるのか?


■ 歴史的な数字──2024年、日本の出生数「69万7277人」

厚生労働省が発表した2024年の速報値によると、日本の年間出生数は69万7277人。ついに70万人の大台を割り込みました。これは戦後最少であり、人口減少スピードが一層加速することが確実です。

でも、なぜここまで減ってしまったのでしょうか?
よく言われるのが、

「安定した仕事と、生活できる給料、そしてほんの少しのゆとりがあれば、子どもを持ちたい人は多い」

という意見です。果たして本当にそうなのでしょうか?


■ 若者の本音:「結婚も出産も、無理ゲーです」

以下は、2024年に実施された20〜39歳男女へのインタビュー(内閣府・こども家庭庁調査)からの声です。

  • 「手取り18万円。都内で一人暮らししたら貯金ゼロ。結婚も子育ても現実味がない」(28歳 男性 会社員)
  • 「共働きでも保育園に入れず、育休明けに退職した。もう二人目は考えられない」(33歳 女性 元派遣社員)
  • 「親の介護と低収入。自分の生活でいっぱいいっぱいで、子育てに手が回らない」(35歳 女性 非正規)

仕事が不安定・給料が少ない・時間も心の余裕もない。この「3重苦」が、出産・子育てを阻んでいる現実があります。


■ 「ゆとり」のない日本の若者たち

▶ 例:手取り20万円のリアルな生活(都内・一人暮らし)

項目金額
家賃(ワンルーム)75,000円
食費30,000円
光熱水道費10,000円
通信費(スマホ+Wi-Fi)8,000円
交通費・雑費15,000円
残り約62,000円

貯金・交際費・病気や冠婚葬祭など突発的支出を含めると、「ほんの少しのゆとり」すらほぼ無いことが分かります。


■ フルタイムでも“貧困”に陥る現実

正社員で働いていても、手取り20万円を下回る人は少なくありません。また、非正規雇用が若年層の約4割を占めている現在、「働いても生活が安定しない」人は大勢います。

特に、

  • 奨学金返済(毎月1〜2万円)
  • 親の医療・介護費用
  • 住宅購入など長期的な展望の困難さ

これらが、将来への不安を強めています。


■ 「安定した仕事・収入」があれば本当に増えるのか?

興味深いのは、北欧やフランスなど出生率が比較的高い国では、

  • 教育・医療の無料化
  • 子ども手当の充実
  • 育休制度の男女平等化
  • 保育施設の整備

といった**「公的な支援によって、経済的・心理的負担を軽減する政策」**がしっかり機能しています。

つまり、「子どもを持つかどうか」は個人の資質や意思の問題だけでなく、社会全体の設計の問題でもあるのです。


■ 解決のカギは“3つの安心”

今の若者たちに必要なのは、以下の「3つの安心」です。

安心内容
経済的安心十分な手取りと、住宅・教育支援制度の整備
仕事の安心長時間労働の是正、安定雇用、育児と両立できる職場
社会的安心保育園の確保、育児休暇の取得推進、地域の子育て支援

これらが揃えば、「ほんの少しのゆとり」も手に入り、“子どもを持とう”と思える土台が生まれるのではないでしょうか。


■ まとめ:出産を希望する人が“実現できる社会”に

「子どもが欲しいと思っている人」は、今でも多く存在します。問題は、“持ちたくても持てない”という構造にあるのです。

「安定した仕事・生活できる給料・ほんの少しのゆとり」

この条件は、決して贅沢ではありません。「当たり前」が叶う社会であれば、日本の未来も変わっていくはずです

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