近年、「男女平等」「女性活躍推進」が叫ばれ、女性の社会進出は大きく進みました。
働く女性、キャリアを追求する女性、政治・経済の場で活躍する女性。
その姿は確かに、かつての「男は仕事・女は家庭」という価値観を塗り替えてきました。
しかし一方で、「女性の社会進出が進むほど、むしろ女性の地位が下がっている」と感じる声も、現場から少なからず聞こえてきます。
本記事では、女性の社会進出がもたらした「逆説的な影響」について、具体例を交えて冷静に考察していきます。
1. 社会進出は進んだ。では「地位」も上がったのか?
確かに、女性管理職の割合や就業率は年々増加しています。しかし、「数字上の平等」と「実質的な地位の向上」は、必ずしも一致していません。
2. 女性の地位が下がったとされる現実と背景
✅ ① “二重負担”で疲弊する女性たち
女性が社会進出しても、「家事・育児は女性がするもの」という固定観念は根強く残っています。
例:フルタイムで働きつつ、帰宅後にワンオペ育児。夫は「手伝う」程度。
⇒ 女性だけが「仕事+家庭」の両方を担い、心身が限界に。
この構造は、「仕事を持つ=自立した女性」という評価とは裏腹に、「何でもやらされる存在」へと女性を追いやっている面もあります。
✅ ② 「男性社会」に合わせることが成功の条件に
社会で活躍するためには、既存の男性中心社会の“ルール”に従うことが求められるケースが少なくありません。
例:長時間残業に耐える、育休を遠慮する、男性的なリーダーシップを求められる
⇒ 女性性を活かすのではなく、“男のように振る舞う”ことが出世の条件に。
これでは、「女性らしさ」や「多様な価値観」が社会に活かされているとは言えません。
✅ ③ 結婚・出産のリスクとされる風潮
企業によっては、結婚・出産を「コスト」と見なす風潮すら残っています。
例:昇進を断られる、妊娠で評価が下がる、「どうせ辞めるでしょ?」という空気
⇒ 本来、出産や子育ては社会にとってプラスのはずが、逆に“足かせ”として扱われる。
その結果、「子どもを持つ=キャリアを諦める」と考える女性も増え、少子化の一因にもなっています。
3. 気づいていない女性が多い理由
✅ “がんばって当然”という空気に慣れてしまっている
現代の女性たちは、「頑張ることが美徳」とされる環境で育ってきたため、「この働き方や負担の多さはおかしい」と自覚しにくくなっています。
⇒ 結果、「自分が弱いから辛い」と思い込み、構造の問題に気づけない。
✅ フェミニズムの理想と現実の乖離
一部のフェミニズム論は「社会に出て男と同じ土俵で戦うことこそ平等」と訴えます。
しかしその結果、「戦う」ことばかりが求められ、本来の“女性の強み”が軽視される傾向も。
⇒ 「キャリアを追わない女性=怠け者」と見る風潮が、かえって女性同士の分断も生んでいる。
4. 本来目指すべきは“地位の上昇”ではなく“価値の尊重”
「社会進出」は手段であって、目的ではありません。
本来目指すべきは、女性が“女性としての価値”を損なわずに、個性と希望を持って生きられる社会です。
5. 今後必要とされる視点
- 「仕事か家庭か」ではなく、「どちらも大切にできる仕組み」作り
- 数字ではなく、幸福度・満足度で「地位の向上」を測る視点
- “男性的成功モデル”以外の多様な働き方・生き方の承認
結論:本当の意味で“女性が活躍する社会”とは?
社会進出は、女性に多くのチャンスをもたらしました。
しかし、その裏で失われている「余裕」「幸福」「女性らしさ」も、無視してはならないものです。
本当に女性の地位が上がる社会とは、
「男性のように働くこと」ではなく、「女性らしく生きること」が評価され、尊重される社会ではないでしょうか。
そして、その実現にはまず、今の現実に気づくことから始めなければなりません。