2025年4月、トランプ政権は多数の国に対して、国内の関税制度とは別に「相互関税(reciprocal tariff)」を導入しました。これは アメリカと対等な貿易関係にない相手国に対し、追加で最大25%の関税を課す政策です。対象国は、十分な交渉や合意を持たない限り、自動的に高率課税へと移行する仕組みです。ウィキペディア


🇯🇵 日本はなぜ「対象外」?特例と不安材料

✅ 除外の経緯と条約内容

日本は2025年7月にアメリカと署名した二国間貿易協定により、輸出品の「相互関税」を15%に設定することで合意。これにより、25%まで上がるはずだった日本の関税額は15%で留められる格好となりました。自動車や自動車部品などをはじめ、日本の輸出企業にとっての重要な成果です。フィナンシャル・タイムズThe Japan Times

ただし、この取り決めには 「スタッキング(stacking)=多重課税回避」の明記がなかったため、日本はEUのような明示的な“重ならない”条項の適用が不透明です。The White HouseReuters


🚘 15%上乗せの可能性:自動車分野の不透明性

日本の交渉責任者である赤澤亮誠・内閣府審議官(通商担当)は、以下の点を強調しています:

  1. 自動車に関しては27.5%の既存関税に、さらに15%の追加関税が重なる懸念あり。合意文に明確な記述がないのが課題。
  2. トランプ大統領による「行政命令」によって15%を適用するだけで済むのか、重複課税の恐れはないのかを早期に確定すべきと日本政府は主張しています。Reuters+1

赤澤氏は8月初旬に渡米し、米商務長官との会談で迅速な実行とスタッキング回避の明記を強く求めています。Reuters+2Reuters+2


📊 具体的な影響例:自動車産業への圧迫

日本の自動車産業は、以下のような具体的影響を受ける可能性があります:

  • **税率:27.5%(現在) ➝ 15%**に一旦引き下げられる見込みですが、追加15%が重複すれば、計42.5%の関税がかかる可能性も。
  • トヨタ、ホンダ、マツダ、スバルなど主要メーカーの米国輸出が直撃。輸出コストが跳ね上がると価格競争力が大幅に低下。フィナンシャル・タイムズReutersThe Japan Times
  • 日経平均は4月の米関税発表時に7.8%下落。実際の値上げが始まれば、さらなる市場影響が懸念されます。ウィキペディア

📋 見通しと今後の対応

項目ポイント
7月協定の内容他品目含め15%に統一。ただし自動車は関税制度が複雑で、スタッキングの回避が未確定。フィナンシャル・タイムズThe Japan Times
日本政府の対策赤澤氏が渡米して交渉を継続。執行命令や「no stacking」条項の導入を強く求める。Reuters+2Reuters+2
今後の注意点仮に自動車分野で15%の追加課税が重なれば、輸出コスト増と国際競争力の低下。

✅ まとめ

トランプ政権の相互関税政策は、日本にとっても重大な影響を及ぼす可能性をはらんでいます。7月に合意された「15%条約」は安堵材料となる一方で、自動車分野での関税重複(スタッキング)の未解決は大きな懸念です。

赤澤交渉官による渡米と強い修正要求は、実行の確実性を高め、日本企業の損失回避を図る重要な局面です。今後、米国による大統領令や連邦官報記載の条文変更に注目が集まります。

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