「なんか最近の日本、おかしくない?」
そんな言葉を、SNSや会話でよく耳にします。
挨拶もされない、助け合いもない、心も時間も“すり減らしてる”ような毎日。
その背景には、「みんな自分のことで精一杯」という現実があります。今回はその実態と原因を、具体例を交えて考察していきます。
■ “疲弊する日常”が当たり前になった若者の声
東京で働く24歳の正社員・美咲さん(仮名)はこう話します。
「毎日朝9時から夜20時まで働いて、帰ったらもうクタクタ。電車でお年寄りが立っていても、正直“立ち上がる余裕”もないんです。罪悪感はあるけど、それどころじゃない。」
美咲さんのように、仕事や生活で余裕がなくなると、他人への気遣いや助け合いができなくなるのは、自然な反応かもしれません。
■ 自分のことで手一杯な家庭環境
シングルマザーの陽子さん(38歳・神奈川県)も、「自分と子どもの生活を回すだけで精一杯」と語ります。
「朝4時に起きてお弁当を作って、昼はパート、夜は内職。隣人が困ってるのを知っても、声をかける時間も体力もない。昔の“ご近所付き合い”なんて、今は夢のようです。」
家族を守るだけで全力。結果として、地域とのつながりも薄れ、孤立化が進行しています。
■ 「助けて」が言えない空気
大学生の健太さん(20歳)は、精神的なつらさを誰にも打ち明けられずに苦しんでいました。
「サークルの先輩が『甘えるな』って言ってたのが頭から離れなくて。誰もが自分のことでいっぱいいっぱいに見えて、“助けて”なんて言えなかった。」
このように、「余裕のなさ」が連鎖して、共感や支援の輪が生まれないのです。
■ SNS時代の“他人を気にする暇のなさ”
SNSでは常に誰かが成功しているように見え、比較のプレッシャーが常に付きまとう中、「自分のメンタルを守るのに精一杯」という声も多数。
「誰かの幸せを喜ぶ余裕なんてない。自分のことで潰れそうなのに、他人を応援する気にはなれない…」(29歳・男性)
「頑張ってる自分」が常に試される社会では、他人に優しくする余白がどんどん失われていきます。
■ なぜこうなった?5つの社会的要因
- 物価高騰と低賃金
→ 生活の余裕がなく、他人を気遣うどころではない。 - 少子高齢化・介護負担
→ 親の世話で20〜40代が疲弊している。 - 非正規雇用の増加と将来不安
→ 自分の生活を安定させるだけで精一杯。 - デジタル社会の孤独感
→ オンラインでの“繋がり”はあっても、心のつながりは希薄。 - 公的支援の限界と自己責任論
→ 「助けを求めるのは甘え」とされる社会的空気。
■ “余裕”を取り戻すために必要なこと
- 小さな「ありがとう」「大丈夫?」を交わす習慣
- 学校や職場に“気軽に頼れる仕組み”を整備する
- 経済的・時間的な余裕をつくる政策(ベーシックインカムや時短勤務支援など)
- 「自己責任論」から「共に生きる」価値観へ
■ おわりに:誰かに優しくなれないのは、あなたのせいじゃない
最近の日本が「冷たい」「ギスギスしてる」と感じるのは、それだけみんなが追い詰められている証拠です。
“助けられる余裕”がある人だけが他人を助けられるのだとしたら、まずは「自分の余裕」をつくる社会設計が必要なのではないでしょうか。
「誰かのことを考える余裕がない」
その感覚こそ、社会が壊れつつあるサインなのかもしれません。