4日(木)、東京都心部を襲った猛烈な大雨により、江東区では短時間に局地的豪雨が降り注ぎました。時間雨量が80mmを超えるような激しい雨となり、区内の低地や河川周辺で浸水被害が相次いでいます。気象庁と江東区は「土砂災害警戒情報」と「浸水害の緊急警戒」を同時に発表し、住民に早めの避難を呼びかけています。
江東区が抱える「水害リスク」
江東区は荒川、隅田川、旧中川などに囲まれ、区全体の約7割が海抜ゼロメートル地帯といわれています。そのため大雨や高潮の影響を受けやすく、浸水リスクが高い地域です。
実際に、2019年の台風19号(令和元年東日本台風)の際には、荒川の水位が氾濫危険水位に迫り、江東区内でも避難所が開設されました。今回の大雨でも同様に、河川の急激な増水や排水能力を超えた雨水による内水氾濫が心配されています。
想定される具体的な被害例
- 道路や地下空間の冠水
江東区東陽町周辺や木場駅付近は、豪雨時に道路冠水の常襲地域として知られています。過去には地下鉄東西線の出入口付近に水が流れ込み、通勤客が足止めされた事例もあります。今回の雨でも、地下街やマンホールからの水噴出に注意が必要です。 - 住宅街の浸水
大島や亀戸地区では、地盤が低いことから短時間の豪雨でも住宅の床下浸水が相次ぐ可能性があります。実際、2022年のゲリラ豪雨では大島地区で数十棟が浸水被害を受けました。 - 土砂災害の危険性
江東区は平坦な土地が多いですが、盛土造成地や地下鉄工事による掘削跡などでは局地的に地盤が緩む恐れがあります。特に清澄白河周辺の旧河川跡地は、雨水が集中しやすく、過去にも道路が陥没しかけた事例があります。
今後の見通しと住民が取るべき行動
気象庁は今夜にかけて、関東南部で局地的に1時間100mmの雨が降る恐れがあると発表しています。江東区では以下の点に注意が必要です。
- 避難情報を確認:江東区公式サイトや防災アプリ「東京都防災アプリ」で最新情報をチェック。
- 地下空間からの早めの退避:地下鉄、地下街、半地下住宅などは浸水の危険が高いため、雨が強まる前に退避。
- 高台への避難行動:江東区は区内に高台が少ないため、周辺区(文京区、台東区など)への広域避難の可能性も考慮。
- 家庭での備え:家財を高い場所に移動、排水口の掃除、非常用持ち出し袋を準備。
まとめ
江東区は「水に囲まれた町」という地理的特徴から、大雨や台風による浸水被害が避けられない地域です。今回の猛烈な大雨でも、都市型水害と河川氾濫の両面に警戒が必要です。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、地下鉄や道路が冠水し、避難が困難になることは過去の事例からも明らかです。一人ひとりが早めに避難行動をとり、命を守る判断を優先することが何より重要です。