「消費税が減税されたら、一時的に『もっと安くなるかも』と思って買い控えが起こるんじゃないか?」
「いやいや、増税されたら、その後ずっと高い値段で買うことになるんだから、減税で買い控えなんてありえないでしょ!」
消費税の減税と増税。どちらが消費者の行動に有利に働くのか、そして経済全体にとってどちらが得策なのか。この永遠の議論に、具体的な例を交えながら徹底的に切り込んでいきましょう。
ケース1:100万円の冷蔵庫を購入する場合
【消費税10%の場合】 冷蔵庫の価格:100万円 消費税:10万円 合計支払額:110万円
【消費税5%に減税された場合】 冷蔵庫の価格:100万円 消費税:5万円 合計支払額:105万円
このケースでは、減税されれば5万円安く購入できます。短期的な買い控えを考えるよりも、確実に安く買える時に購入する方が合理的と言えるでしょう。
ケース2:毎月5万円の食料品を購入する世帯
【消費税10%の場合】 月々の消費税負担:5万円 × 10% = 5千円 年間の消費税負担:5千円 × 12ヶ月 = 6万円
【消費税5%に減税された場合】 月々の消費税負担:5万円 × 5% = 2千5百円 年間の消費税負担:2千5百円 × 12ヶ月 = 3万円
このケースでは、減税によって年間3万円の負担が軽減されます。一時的な買い控えがあったとしても、その後の継続的な負担軽減の方が、家計にとって明らかに有利です。
なぜ「減税で短期の買い控え」は起こりにくいのか?
一部で懸念される「減税による短期の買い控え」ですが、実際には以下のような理由で起こりにくいと考えられます。
- 生活必需品への影響: 食料品や日用品など、日々消費するものは、減税を期待して購入を先延ばしにするインセンティブが働きにくいです。
- 具体例: 明日食べるパンを、「来週もっと安くなるかもしれないから」といって今日買わない人は少ないでしょう。
- 耐久消費財の購入タイミング: 冷蔵庫や洗濯機などの耐久消費財は、故障や買い替えの必要性に応じて購入されることが多く、減税のタイミングを 長期間待つことは稀です。
- 具体例: 冷蔵庫が壊れてしまった場合、「来月減税されるかもしれないから」といって、数週間も不便な生活を送る人は少ないでしょう。
- 減税幅と期間の不確実性: いつ、どれくらいの期間減税されるかは不確実です。「待っていたら減税されなかった」というリスクを冒すよりも、減税された時点で恩恵を受ける方が合理的です。
増税後の「ずっと買い控え」の方が深刻な理由
一方、増税は消費者の購買意欲を直接的に低下させ、「ずっと買い控え」を引き起こす可能性が高いです。
- 可処分所得の減少: 同じ商品やサービスを購入するのに、より多くのお金が必要になるため、消費者は支出を抑制する傾向にあります。
- 具体例: 1000円の商品が1100円になれば、「ちょっと高いな」と感じて購入をためらう人が増えるでしょう。
- 将来への不安の増大: 増税は、将来の税負担増への懸念を生み出し、消費者のマインドを冷え込ませます。
- 具体例: 「また税金が上がるかもしれない」という不安から、将来のために貯蓄を増やそうとする人が増え、消費が抑制されます。
- 景気後退のリスク: 消費の低迷は、企業の売上減少や利益悪化を招き、景気後退の悪循環に陥る可能性があります。
結論:目先の小さな損よりも、 将来の大きな得
短期的な買い控えの可能性を考慮しても、消費税減税は、増税による長期的な買い控えを防ぎ、消費者の負担を軽減し、経済の活性化に繋がる可能性が高いと言えます。
「もっと安くなるかも」という不確実な期待に賭けるよりも、確実に安くなる減税の恩恵をすぐに受ける方が、消費者にとって合理的な選択であり、経済全体にとってもプラスに働く可能性が高いのです。