2025年8月、栃木県の県立高校に勤務する40代の男性教諭が盗撮容疑で逮捕されました。取り調べに対し、この教諭は「仕事のストレス解消のためだった」と供述しており、教育現場に大きな衝撃を与えています。事件そのものの深刻さに加え、「ストレスと犯罪行為を結びつけてしまう」という危険な認識が、改めて議論を呼んでいます。
◆事件の概要
報道によれば、この教諭は休日にショッピングモールで女性のスカート内をスマートフォンで盗撮していたところを警備員に発見され、現行犯逮捕されました。
押収されたスマホには、複数の盗撮とみられる動画や画像が保存されていたとされます。
教諭は日常的に部活動の指導や授業準備に追われており、「疲労やストレスがたまっていた」と説明。警察の取り調べでは「やってはいけないことだとわかっていたが、気分転換のつもりだった」と供述したと伝えられています。
◆「ストレス解消」という言い訳の問題点
この事件が大きく報じられたのは、単なる盗撮事件としてではなく、加害者が「ストレス解消」を動機に挙げているからです。
具体例:他の事件でも繰り返される供述
- 2019年・東京都の中学校教諭:電車内で盗撮し逮捕。「職務のストレス解消」と供述。
- 2022年・大阪の小学校教諭:繁華街で盗撮し摘発。「部活指導で疲れ、衝動を抑えられなかった」と説明。
こうした「ストレス解消」という言い訳は過去の事例でも繰り返されており、まるで「免罪符」のように使われています。しかし、当然ながら犯罪を正当化できる理由にはなりません。
◆教育現場のリアルな負担
背景に、教員の過酷な労働環境があるのも事実です。
- 部活動の長時間指導(平日夜や休日も拘束)
- 授業準備や保護者対応、校務分掌で時間外労働が常態化
- 人手不足による仕事の偏り
例えば、文部科学省の調査では公立中学校教員の7割以上が月80時間を超える時間外労働をしているというデータもあります。
このように、教育現場には強いストレス要因が存在しています。
しかしそのストレスを不法行為に転嫁することは、被害者を生むだけでなく、教育への信頼を失墜させる最悪の選択です。
◆求められる二つの視点
この事件から浮かび上がる課題は大きく分けて二つです。
- 犯罪としての厳正対応
盗撮は軽犯罪ではなく、被害者の心身に大きな傷を残す重大な性犯罪です。教育者としての立場を考えれば、免職を含む厳正な処分は避けられないでしょう。 - 教育現場の構造的改革
「過労やストレスが犯罪を誘発する」とまでは言えませんが、疲弊した教員を放置するのはリスクでもあります。
- 部活動の地域移行- 教員数の増員
- メンタルケア相談体制の拡充
など、長年指摘されてきた改善策を進めることが再発防止にもつながります。
◆まとめ
今回の事件は、「ストレス解消」というあまりに安直な言い訳が社会に衝撃を与えました。ストレスの多い教育現場の実情を直視しつつも、犯罪行為を防ぐための仕組みづくりを同時に進めなければなりません。
教育者の一人の行動が、子どもたちや保護者の信頼を一瞬で壊してしまうことを考えると、この問題は「個人の逸脱」ではなく「教育制度の課題」として社会全体で捉える必要があると言えるでしょう。
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