◆ はじめに:異例の注目を集めた“第三の男”石丸伸二
2025年東京都知事選挙は、例年になく大きな注目を集めました。
主役は現職・小池百合子、そして立憲民主党の蓮舫という知名度抜群の2人――
…になるはずでした。ところがフタを開けてみると、“第三の候補”石丸伸二が大きく話題をさらい、得票数でも予想以上の結果を残しました。
石丸氏は「元官僚・元市長・改革派」という実績を武器にSNSや討論会で知名度を上げ、特に若年層からの支持を広げました。
ただ、彼の躍進には別の背景があったとも言われています。それが、
「小池vs蓮舫」の“二択を避けたい”層の受け皿だった
という見方です。この記事では、石丸氏が伸びた理由と、それが都議選にどう関係したかを詳しく解説します。
◆ 石丸氏の支持が急伸した背景に「既存政治への失望」
● 小池百合子への不信感
- 任期中の公約未達成や不透明な都政運営
- メディア対応は華やかだが、中身の検証が甘い
- 「自己プロデュース力は高いが、改革の実行力に疑問」の声も
● 蓮舫への“違和感”
- 国政中心の政治家というイメージ
- 過去の発言や言動が都民の期待とズレているとの指摘
- 「立憲の顔」という色が強すぎ、無党派層に響かなかった
このような理由で、“消去法で石丸”という選択をした層が一定数いたことは否定できません。
◆ 「戦える第三極」がいなかった都知事選で唯一存在感を示した石丸氏
石丸氏はもともと広島県安芸高田市の市長であり、国政政党に属さない無所属候補。
彼の特徴は、
- メディアやSNSを通じて自力で存在感を築いた
- 官僚出身という経歴と、地方政治での改革経験
- 都知事選の候補者討論で、政策を具体的に語った数少ない候補
特に20~40代の男性層を中心に「石丸推し」が拡大し、ネットでは“石丸現象”とまで言われました。
しかしそれは、「石丸の魅力」だけで起きたのではなく、「小池×蓮舫の二項対立への嫌気」が土壌となって生まれたものでもありました。
◆ では、石丸氏の支持は都議選に波及したのか?
答えは「ほとんど波及していない」です。
● なぜ都議選には影響しなかったのか?
- 石丸氏が都知事選に集中しており、組織的な支援候補がいなかった
→ 石丸氏は政党にも属しておらず、都議選候補者を支援する態勢を取っていなかった - 石丸支持層=無党派層は、都議選には足を運ばなかった層も多い
→ SNS上の盛り上がりに比べ、実際の投票率は低く、無党派の波及が限定的だった - 都議選は地域密着型の「顔と地盤」が強い選挙
→ 石丸氏の全国的な知名度は、区や市レベルの候補には直結しづらかった
つまり、都知事選での現象と、都議選の結果は明確に切り離されるべきなのです。
◆ まとめ:「石丸伸二が伸びた」のは“対抗馬不在”が後押しした結果にすぎない
石丸氏の発信力や行動力は確かに評価されるべきものです。
しかし、彼が都知事選で存在感を放てたのは、
- 小池百合子への疑念
- 蓮舫への不信
- 政党政治への拒否感
といった背景があってこそです。
都議選という「顔が見える地元の選挙」では、それが通用しなかった。
それが今回、石丸現象が“都知事選止まり”であった理由です。
ただし今後、石丸氏が国政や都政で政党を立ち上げる、もしくは有力候補を支援するような動きが出てくれば――
その時こそ、“本当の意味での波及”が起こるかもしれません。