自民党の両院議員総会で、石破首相に対する辞任圧力が一気に高まり、党内の分裂が深刻化しています。参院選での敗北を受け、石破首相は党員や支持層に向けて謝罪しつつも、**「米国の高関税問題への対応が山場に差し掛かっている」**として続投への強い意欲を表明しました。しかし、その姿勢は党内の一部から「現状認識が甘い」と批判され、政権の先行きは極めて不透明な状況です。
1. 辞任圧力の背景 ― 参院選敗北の衝撃
今回の辞任論の最大の引き金は、参院選での自民党の議席減です。
石破首相就任後、党の支持率は一時的に回復傾向を見せたものの、経済政策や外交課題への対応が後手に回ったとの批判が強まり、選挙では都市部・地方の双方で票を減らしました。特に都市部では若年層の離反が顕著で、地方では自民党の組織力を持ってしても野党候補に競り負けるケースが相次ぎました。
党内では、
- 「敗北の責任はトップが取るべき」
- 「外交や経済での成果が乏しい」
といった声が多数を占め、総会の場でも重鎮議員から公然と辞任を求める発言が相次ぎました。
2. 石破首相の続投理由 ― 米国高関税問題
石破首相が辞任を拒む大きな理由は、現在進行中の米国との通商交渉です。
米国は日本の主要輸出品に対して高関税を検討しており、特に自動車や農産品への影響が懸念されています。石破首相は、
「この局面で政権が交代すれば、交渉の継続性が失われ、日本経済に深刻なダメージを与える」
と訴え、引き続き首相として交渉の陣頭指揮を執る必要があると主張しました。
しかし、批判派は「交渉の成果が見えていない」「むしろ米国の譲歩を引き出せていない」と反論しており、この論点は党内論争の焦点になっています。
3. 臨時総裁選の検討と党内情勢
両院議員総会では、臨時総裁選挙の実施を検討することが正式に決定されました。
臨時総裁選は通常、総裁の任期途中でも辞任や不信任の状況で行われますが、今回は首相本人が続投を主張する中での異例の動きです。
党内では、すでに複数の有力議員が水面下で支持固めを始めており、
- 派閥領袖による会合の増加
- 政策公約の事前準備
- メディア露出の活発化
など、総裁選モードに突入した様子が見て取れます。
4. 政権の先行きは?
今回の事態は、自民党内の亀裂をさらに深めています。
石破首相を支持する勢力は「外交継続」を理由に団結を呼びかけていますが、反対派は「参院選敗北という民意を尊重すべき」として譲らず、党内の対立は今後激化する可能性が高いでしょう。
もし臨時総裁選が実施されれば、政権交代に直結し、外交・経済政策の大幅な変更も避けられません。特に米国との通商交渉は、日本側の交渉姿勢や戦略が大きく揺らぐことになります。
まとめ
石破首相への辞任圧力は、単なる選挙結果への反応ではなく、党内の政策路線やリーダーシップに対する根本的な不満の表れです。
臨時総裁選の実施が現実味を帯びる中、自民党は「一枚岩」を失い、政権の安定性は大きく揺らいでいます。今後の焦点は、米国との高関税問題を含む外交交渉の行方と、総裁選での新たなリーダー選びがどのような結果をもたらすかに移っていくでしょう。