2025年7月末、立憲民主党が一時検討していた内閣不信任案の提出を見送る公算が大きいことが報道されました。「政府批判を強めてきたのに、なぜ提出しないのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。実は、内閣不信任案を「出さない」という判断には、複雑な政治的事情や戦略が隠されています。今回はその背景を、具体例を交えながら詳しく解説します。


1.内閣不信任案とは何か?

内閣不信任案は、衆議院で可決されれば内閣総辞職または衆議院解散を迫る強力な手段です。しかし、提出=政治的勝負を挑む行為であり、野党にとっては選挙や政局への影響を見極めた慎重な判断が求められます。


2.なぜ立憲民主は提出を見送るのか?

解散総選挙のリスク回避

  • 不信任案が可決されると、内閣は「総辞職」か「解散総選挙」を選ぶ必要があります。
  • 具体例:1993年の細川連立政権誕生前
    当時、自民党政権への不信任案が可決され、衆院解散・総選挙に直結しました。野党は勢力拡大に成功しましたが、今の立憲民主は選挙準備が不十分で「解散総選挙は不利」と判断したと見られます。

党勢・支持率の低迷

最新の世論調査では、立憲民主党の支持率は10%前後と伸び悩んでいます。

  • 具体例:2024年の不信任案見送り
    前年も同様に、内閣支持率が低下していたにもかかわらず「不信任案を出しても解散に踏み切られたら野党が敗北する」という理由で見送りました。今回も同じ構図です。

他野党との連携不足

不信任案は野党の結束が必要ですが、日本維新の会や国民民主党が慎重姿勢を示しており、単独提出では「数合わせ」にもならない状況。過去にも野党が足並みを揃えられず、与党に「野党分裂」を突かれる例がありました。


3.戦略的判断:今は追い詰めるタイミングではない?

立憲民主党内では「今は国会での追及と世論喚起を優先し、解散の可能性が低い秋以降に備えるべき」との声が強まっています。

  • 具体例:2018年の安倍政権時
    野党は不信任案を提出せず、モリカケ問題で世論批判を高めてから参院選に持ち込む戦略を取りました。結果として短期的な解散リスクを避けつつ、次の選挙準備を整える時間を確保しました。

4.有権者への影響と今後の展望

不信任案の見送りは「野党が弱腰」との印象を与える一方、解散リスクを避けて選挙準備を優先するという現実的判断でもあります。
今後は、

  • 政府不祥事や内閣支持率低下のタイミングを見計らう
  • 他野党との共闘模索を進める
    といった動きが焦点になります。

まとめ

立憲民主が内閣不信任案を提出しない背景には、解散リスク回避・党勢低迷・野党共闘不足という現実的な要因が絡んでいます。
短期決戦よりも長期戦を選んだ形ですが、有権者からは「本気度を疑う声」や「戦略的な判断」と賛否が分かれる展開になるでしょう。

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