かつて日本は「将来はもっと良くなる」と信じられる国でした。しかし、2025年現在、その希望を持てる人はどれだけいるでしょうか。SNSを見れば「将来なんて考えられない」「今を生きるだけで精いっぱい」といった声があふれています。贅沢がしたいわけではなく、“普通に暮らしたい”だけなのにそれすら叶わない――そんな不思議な国が、今の日本です。
1. 「将来に希望を持てない」現実とは?
内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査(2024年)」によれば、**「将来が良くなる」と答えた人はわずか8.9%**で、過去最低を記録しました。
背景には以下のような現実があります。
- 物価高騰:2024年には食品や光熱費が前年比6〜10%上昇。家計は常に逼迫。
- 賃金の伸び悩み:大企業はベア(ベースアップ)を実施する一方、中小企業では昇給ゼロが続く。
- 将来不安:年金制度の先行き不透明、少子高齢化による社会保障負担増。
これらが重なり、人々は「未来よりも今日を生きること」で精いっぱいになっています。
2. 他人を思いやる余裕がなくなる社会
SNSや現場の声からも、**「他人どころか自分のことですら手一杯」**という実態が見えてきます。
- 子育て世帯:「子どもを産んでも教育費や生活費が不安で、2人目は無理」
- 高齢者介護:「親の介護と自分の生活の両立が限界。助けを求めても施設は満員」
- 非正規雇用者:「明日のシフトがなくなるかもしれないのに、他人のことを考える余裕はない」
助け合うどころか、それぞれが「生きるだけで精いっぱい」な状態になり、社会全体に閉塞感が漂っています。
3. 「普通に暮らすこと」が贅沢になる現実
今の日本では「普通の暮らし」がどんどん遠のいています。
- 家賃・住宅ローンの重圧:東京23区ではワンルームの平均家賃が10万円を超える地域も。
- 教育費の高騰:大学進学時には奨学金が当たり前になり、「借金して学ぶ」のが普通に。
- 老後不安:「老後資金2,000万円問題」が話題になったが、現実には退職金も年金も目減り。
こうした状況から「贅沢は望まない、せめて普通に暮らしたい」という願望すら、現代では“無理ゲー”と化しています。
4. 希望を持てない空気が社会全体に蔓延
「政治が変わらない」「賃金が上がらない」「未来が見えない」――こうした閉塞感が広がり、結果として若者は消費を控え、結婚や出産を先送りし、さらに少子化が進むという悪循環に陥っています。
2024年の出生数は過去最少の72万人。希望を持てない社会が人口減少に拍車をかけ、国力の低下がさらに進むという“負のスパイラル”が現実化しています。
5. 「希望を持てない国」から脱するために必要なこと
現状打破には、以下のような構造的改革が求められます。
- 実質賃金の底上げ:最低賃金や非正規雇用者の待遇改善。
- 子育て・教育支援の拡充:無償化や給付金による負担軽減。
- 地域格差の是正:地方移住やリモートワーク支援で東京一極集中を緩和。
- 社会のセーフティネット強化:生活困窮者や介護・医療の支援拡大。
まとめ:希望を失った日本を取り戻すには
「普通に暮らすこと」が叶わず、「将来に希望を持てない」日本は、まさに不思議な国です。人々は贅沢を求めているわけではなく、**「人間らしい生活」と「未来への安心」**を望んでいるに過ぎません。
それが実現できない社会が続けば、さらなる人口減少と経済縮小の悪循環に陥るのは避けられません。
日本が再び希望を持てる国になるためには、**「命と生活を守る政策」と「人々が余裕を持てる環境づくり」**が不可欠です。