近年、日本でも「選択的夫婦別姓」を導入すべきかどうかという議論が続いています。賛成派は「自由の拡大」や「男女平等」を掲げますが、反対派は「家族の一体感が失われる」「戸籍制度が崩れる」と懸念を示しています。
しかし実は、この問題は単に「戸籍」や「家族観」だけでなく、通名使用の問題や、帰化した議員の出自に関する不透明さといった、より根の深い社会的問題とも絡み合っているのです。
1. 戸籍制度と日本社会の安定
日本の戸籍制度は「誰がどの家に属するか」を明確にし、国民の身分関係を記録してきました。
例えば、婚姻や養子縁組、相続などの法律行為は戸籍を基盤に成り立っています。
選択的夫婦別姓が導入されれば、同じ家族内に複数の姓が併存することになり、「家」という戸籍単位の意味が薄まる可能性があります。これは、行政手続きや相続関係の複雑化だけでなく、「家族とは何か」という社会基盤そのものの揺らぎを招く恐れがあります。
2. 通名制度との関連
現在でも、在日外国人や帰化した人が「通名」を使用することが可能です。これは生活上の便宜のために認められている制度ですが、実際には「出自を隠す手段」として悪用された事例もあります。
例えば、過去に大きな事件で逮捕された人物が日本名を使っており、後から本名(外国籍名)が報じられて驚かれたケースがいくつもあります。
もし選択的夫婦別姓が導入されれば、「本名」と「社会で使う名前」がさらに分離しやすくなり、身元確認がより困難になる懸念があります。
3. 帰化議員の出自と透明性の問題
国会議員の中には帰化した人もいますが、戸籍制度のもとでは出自や家系がある程度確認可能です。しかし、夫婦別姓制度が広がれば、戸籍と姓の結びつきが緩くなり、帰化歴や出自を曖昧にすることが容易になるかもしれません。
例えば、「政治家がどこの国にルーツを持っているか」は国民が判断材料とすべき重要な要素です。ところが「名前」がバラバラに管理されるようになると、出自を追跡するのが難しくなり、結果として国民が正確な情報を得にくくなります。
4. 「選択の自由」がもたらす危うさ
賛成派は「選択できる自由」を強調します。しかし、「大衆が選択できるようになったら、いよいよ社会が乗っ取られる」と懸念する人も少なくありません。
なぜなら、「選択の自由」が制度化されれば、国籍・出自を隠しながら活動できる余地がさらに広がるからです。表向きは「自由」や「平等」を掲げながら、その実、国家の基盤を緩める方向に働く可能性があります。
まとめ
選択的夫婦別姓は、単なる「家族の問題」でも「戸籍制度の問題」でもありません。
- 戸籍制度を形骸化させるリスク
- 通名制度の悪用と身元確認の困難化
- 帰化議員や公職者の出自の不透明化
これらが複合的に重なることで、日本社会の安定性そのものが揺らぐ危険性をはらんでいます。
つまり、選択的夫婦別姓を考えるときには「自由か不自由か」という単純な二元論ではなく、日本の国家基盤を守るために本当に必要かどうかという視点から冷静に議論する必要があるのです。