かつてはグルメサイトの代名詞として君臨した「食べログ」。しかし最近、「オワコン化しているのでは?」「若い世代は全然使っていないらしい」といった声が聞こえてくるようになりました。実際に、若年層を中心に食べログ離れが進み、利用者の中心が中年層に移りつつあると言われています。
一体なぜ、このような変化が起こっているのでしょうか?本記事では、具体的な理由を掘り下げて解説していきます。
決定的要因1:情報の信頼性への疑問と口コミ疲れ
食べログが長年抱えてきた問題の一つが、口コミの信頼性です。
- ステルスマーケティング(ステマ)疑惑: 以前から、飲食店がお金を払って高評価の口コミを書いてもらう「ステマ」の存在が指摘されてきました。これにより、「高評価だから美味しいとは限らない」「ランキングは信用できない」という不信感がユーザー、特に情報感度の高い若年層に広まりました。
- 具体例: 過去には、複数の飲食店が組織的に高評価の口コミを投稿していた事例が発覚し、大きなニュースとなりました。
- 点数操作疑惑: 評価アルゴリズムの不透明さから、「お金を払った店舗が上位表示されやすい」「点数が操作されているのではないか」という疑念が根強く存在します。
- 具体例: ある焼肉チェーン店が、食べログの評価アルゴリズム変更後に点数が大幅に下落したとして、運営会社を訴訟する事態も起きました。
- 口コミ疲れ: 大量の口コミを読み解き、自分に合った店を見つけることに疲れてしまったという声も聞かれます。特に若年層は、より手軽で視覚的な情報を好む傾向があります。
決定的要因2:SNSやGoogleマップの台頭
より手軽でリアルな情報を求める若年層は、InstagramやX(旧Twitter)、Googleマップといった他のプラットフォームに移行しています。
- Instagramの活用: 若者は、ハッシュタグ検索で「#渋谷グルメ」「#カフェ巡り」など、自分の興味関心に合ったお店の情報を、写真や動画で直感的に探します。インフルエンサーや友人の投稿は、口コミよりも信頼性が高いと感じる傾向があります。
- 具体例: 大学生のAさんは、「食べログは情報が多くて探すのが面倒。インスタで美味しそうな写真を見つけて、場所はGoogleマップで確認する」と言います。
- Googleマップの口コミ: Googleマップの口コミは、匿名性が低く、ローカルガイドによる詳細なレビューや写真も豊富です。また、お店の雰囲気やメニューも視覚的に分かりやすく、経路検索もスムーズに行えるため、利便性が高いと言えます。
- 具体例: 会社員のBさんは、「出張先でご飯を探すときは、まずGoogleマップで評価の高い店をチェックする。写真も多いし、現在地の情報もすぐわかるから便利」と話します。
- リアルタイムな情報: SNSでは、最新のメニュー情報やお店の雰囲気がリアルタイムに共有されるため、「今」行きたいお店を見つけやすいというメリットがあります。
決定的要因3:UI/UXの古さと情報過多
食べログのウェブサイトやアプリのUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)が、若年層にとって魅力的ではないという意見も多く聞かれます。
- 情報量の多さと探しにくさ: 多くの情報が詰め込まれている反面、目的の情報にたどり着くまでに時間がかかったり、操作が複雑に感じられたりすることがあります。
- デザインの古さ: 洗練されたデザインを好む若年層にとって、食べログのデザインは古臭く感じられることがあります。
- パーソナライズ機能の弱さ: 個人の好みに合わせた情報提供が十分ではないと感じるユーザーもいます。
決定的要因4:飲食店側の不満と離反
食べログの高額な掲載料や手数料に対する飲食店側の不満も、サービス全体の魅力低下に繋がっています。
- 高額な送客手数料: ネット予約による送客に対して、飲食店が食べログに支払う手数料は決して安くありません。特に小規模な飲食店にとっては大きな負担となり、食べログからの離反を招く要因となっています。
- 具体例: ある個人経営の飲食店店主は、「食べログの送客手数料が高すぎて、利益が圧迫される。今はSNSやGoogleマップでの集客に力を入れている」と語ります。
- 広告掲載の圧力: 上位表示や目立つ場所に掲載されるためには、高額な広告プランに加入する必要があり、中小規模の店舗は不利な状況に置かれがちです。
なぜ中年層は依然として食べログを利用するのか?
一方で、中年層には依然として食べログの利用者が多いと考えられます。その理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 長年の利用習慣: 若い頃から食べログを利用してきた習慣が抜けにくい。
- 情報収集への意識の高さ: グルメに関する情報をじっくりと比較検討したいというニーズが高い。
- ネット予約機能の利用: 会社の接待や会食などで、ネット予約機能が便利である。
- ポイントサービスの利用: 食べログのポイントを貯めたり、利用したりする習慣がある。
まとめ:変化するグルメ探しの潮流
食べログのオワコン化は、情報の信頼性への疑問、SNSやGoogleマップといった新たなプラットフォームの台頭、UI/UXの課題、そして飲食店側の不満といった複数の要因が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。
特に、情報感度が高く、手軽で視覚的な情報を好む若年層は、より自分に合った方法でグルメ情報を探すようになっています。
今後、食べログが再び幅広い世代に支持されるためには、情報の透明性向上、UI/UXの改善、そして飲食店とのより良い関係構築が不可欠となるでしょう。グルメ探しの潮流は常に変化しており、生き残るためには変化への適応が求められています。