2026年秋、自民党総裁選で高市早苗氏が初の女性総裁に選出され、次期内閣総理大臣への就任が確実となりました。日本政治にとって歴史的な転換点となる一方で、早くも与党内外で波紋が広がっています。特に注目されているのが「公明党の連立離脱の可能性」と、「国民民主党との新たな連携シナリオ」です。
本記事では、なぜこうした動きが現実味を帯びているのか、背景・各党の思惑・今後のシナリオを詳しく解説します。
◆ 高市新総裁誕生が意味するもの
2026年自民党総裁選は、岸田政権への不満が高まるなかで、「保守本流への回帰」を掲げた高市早苗氏が党内右派・保守層の支持を集めて勝利しました。女性初の総理大臣としての期待感が高まる一方、政策の方向性は岸田政権と大きく異なる部分が多く、政界の力学に変化が生まれつつあります。
高市氏が掲げてきた主な政策には以下のような特徴があります:
- 憲法改正、特に「自衛隊明記」や「緊急事態条項」の創設を重視
- 防衛費のさらなる拡大、抑止力強化
- 移民政策への慎重姿勢、国境管理の強化
- 教育無償化・少子化対策への大型財政出動
- 家族観・ジェンダー政策での伝統的価値観の重視
これらは保守層には歓迎される一方、公明党や一部のリベラル系議員とは方針の違いが際立ちます。
◆ 公明党との“微妙な距離感”が一気に拡大?
自民党と公明党の連立は1999年から続く「長期政権の支柱」でした。しかし、高市新総裁誕生を受けて、その関係が揺らぎ始めています。
公明党内では以下のような不満や不安が高まっています:
- 安保・憲法路線の違い
公明党は「平和の党」として、自衛隊明記や敵基地攻撃能力強化などの強硬路線には慎重です。高市氏の「憲法改正を最優先課題に」という姿勢には党内から警戒の声が上がっています。 - ジェンダー・家族政策の温度差
LGBT法や選択的夫婦別姓など社会政策に関して、公明党は柔軟な対応を取ってきましたが、高市氏は伝統的家族観を重視しており、政策調整が難航する可能性があります。 - 選挙協力への影響
特に都市部での選挙は公明党の支援が不可欠ですが、政策対立が深まれば「選挙協力の見直し」という選択肢も現実味を帯びます。
すでに公明党幹部の一部は「連立のあり方を見直す時期に来ている」と発言しており、「連立解消」または「条件付き協力」に移行する可能性も指摘されています。
◆ 国民民主党との“新連携”が急浮上
一方で、自民党内では「公明党離脱」を前提とした新たな連携の模索も始まっています。その最有力候補が「国民民主党」です。
国民民主党は玉木雄一郎代表のもとで政策協調路線を強め、以下の点で自民党・高市新体制と接点があります:
- 憲法改正に前向き
- 防衛力強化・エネルギー安全保障への積極姿勢
- 教育・子育て支援の大幅拡充に賛同
- 財源確保のための「消費減税・減税と歳出改革の両立」に理解
すでに党内では「連立参加も選択肢」とする声が上がっており、「自公政権」から「自国(自民+国民)政権」への移行が現実味を帯びつつあります。
◆ 可能性が高まる「政界再編」シナリオ
高市政権の誕生を契機に、日本政治は以下のような再編シナリオを描きつつあります:
- シナリオ1:自公連立維持(ただし条件付き)
公明党が政策調整を条件に連立を継続。ただし憲法改正などで「自主投票」を容認するなど、ゆるやかな連携に変化。 - シナリオ2:公明党離脱 → 自国連立へ
公明党が連立を離れ、国民民主党と自民党が連携。参議院での安定多数確保が課題となるが、政策整合性は高まる。 - シナリオ3:三極体制への移行
自民・国民の保守連合、公明・立憲の中道連合、日本維新の会を含めた第三極が並立する三極構造へ。選挙構図が一変する。
◆ 政治的リスクとチャンス — 日本の進路は分岐点へ
高市新総裁の登場は、「自民党の右傾化」という単純な図式では語れません。むしろそれは、25年以上続いた「自公体制」の終わりの始まりを意味しているのかもしれません。
- 公明党離脱は、都市部の選挙戦略に大きなリスクをもたらす
- 国民民主との連携は、政策実現力とスピード感を高める可能性
- 野党再編や新党結成の可能性も含め、日本政治は大きな流動期へ
歴史を振り返れば、自民党の路線転換は常に「連立の再編」とセットで起こってきました。今回も例外ではなく、「高市政権=日本政治の地殻変動」の序章と考えてよいでしょう。
【まとめ】
高市早苗新総裁の誕生は、日本政治における大きな転換点です。これまでの自公連立の常識が揺らぎ、新たな政党連携や政策軸が浮上する可能性が高まっています。公明党が“離れる”のか、“残る”のか、そして国民民主党が“乗る”のか、“距離を取る”のか——2026年は政界再編の引き金となる年になるでしょう。