2025年4月23日、金融市場を震撼させるニュースが駆け巡りました。日米間の新たな通商協議において、為替レートが1ドル120円という水準で事実上妥結する見通しが報じられたのです。

昨年始まったばかりの新しいNISA(少額投資非課税制度)を活用し、米国株など海外資産への投資を始めたばかりの「新NISA民」にとって、この円高はまさに大悲報と言えるでしょう。

本記事では、この報道の真相、円高が新NISA投資家に与える具体的な影響、そして今後の対策について、詳細に解説していきます。

注意点: 本記事は現時点での報道に基づいた分析であり、今後の日米通商協議の進展によっては内容が変動する可能性があります。

なぜ1ドル120円妥結が「大悲報」なのか?

新NISAで海外資産、特に米国株に投資している場合、為替レートは投資収益に大きな影響を与えます。

  • 円安のメリット: 例えば、1ドル150円の時に100万円分の米国株を購入した場合、円高が進んで1ドル120円になった時点で円換算すると、為替差益が発生します。
  • 円高のデメリット: 逆に、1ドル150円の時に100万円分の米国株を購入した場合、円高が進んで1ドル120円になった時点で円換算すると、為替差損が発生し、投資元本が目減りしてしまう可能性があります。

今回の報道にある「1ドル120円」という水準は、ここ数年の円相場と比較してもかなり円高です。新NISAでドル建て資産を保有している場合、大きな為替差損を被るリスクが高まります。

具体的な影響額をシミュレーション

実際に、1ドル120円で妥結した場合、新NISAで米国株に投資している人はどれくらいの損失を被る可能性があるのか、具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。

例:1ドル150円の時に100万円分の米国株(約6,667ドル)を購入した場合

  • 購入時: 100万円 ÷ 150円/ドル = 約6,667ドル
  • 1ドル120円になった場合: 6,667ドル × 120円/ドル = 80万4円

この場合、為替レートの変動だけで、約19万9,996円の損失が発生することになります(実際には、株価変動の影響も加わります)。

新NISAの非課税投資枠を大きく使ってドル建て資産を購入している場合、その損失額はさらに大きくなる可能性があります。

なぜ日米通商協議で円高容認の動きがあるのか?

報道によると、今回の通商協議で円高が容認される背景には、以下のような要因があると考えられます。

  • アメリカ側のインフレ抑制策: アメリカは現在、高インフレに苦しんでおり、ドル高は輸入物価を下げることでインフレ抑制に繋がる可能性があります。
  • 日本側の輸入物価高騰への懸念: 円安が進行する中で、日本国内ではエネルギーや食料品などの輸入物価が高騰し、国民生活を圧迫しています。円高はこれらの輸入コストを抑制する効果が期待できます。
  • 過去の貿易不均衡の是正: 長期的に見て、日米間の貿易不均衡を是正する意図がある可能性も否定できません。

新NISA民が取るべき対策とは?

今回の報道を受けて、新NISAでドル建て資産を保有している投資家は、冷静に今後の対策を検討する必要があります。

1. ポートフォリオの見直しと分散投資

ドル建て資産に偏っている場合は、円建て資産や他の通貨建て資産への分散投資を検討しましょう。これにより、為替変動のリスクを軽減することができます。

具体例:

  • 米国株だけでなく、先進国や新興国の株式、債券、REITなど、複数の資産クラスに分散投資する。
  • 一部の資金を円建ての高配当株や投資信託にシフトする。

2. 為替ヘッジの検討

為替ヘッジとは、為替変動による損失リスクを抑えるための取引です。為替ヘッジ付きの投資信託などを利用することで、円高による影響を軽減することができます。

注意点: 為替ヘッジにはコストがかかる場合があり、必ずしも為替変動リスクを完全に回避できるわけではありません。

3. 長期的な視点での保有

新NISAは非課税保有期間が無期限であり、長期的な視点で資産形成を行うための制度です。短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的な成長を期待して保有し続けるという戦略も考えられます。

ポイント: 長期的に見れば、為替レートは変動する可能性があり、一時的な円高が長期的なリターンに与える影響は限定的かもしれません。

4. 情報収集と冷静な判断

今後の日米通商協議の動向や、為替市場の変動を注視し、信頼できる情報源から情報を収集することが重要です。感情的な売買は避け、冷静な判断に基づいた行動を心がけましょう。

まとめ:過度な悲観は禁物、冷静な対応を

今回の「1ドル120円で妥結か?」という報道は、新NISAでドル建て資産を保有する投資家にとっては大きな懸念材料です。しかし、現時点では報道段階であり、今後の動向は不透明です。

過度に悲観的になるのではなく、自身のポートフォリオを見直し、分散投資や為替ヘッジなどの対策を検討しながら、長期的な視点で冷静に対応していくことが重要です。

新NISAは、長期的な資産形成を支援する制度です。短期的な市場の変動に惑わされず、賢く制度を活用していきましょう。

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