近年、私たちの食卓に欠かせない「お米」の価格がじわじわと、そして確実に上昇しています。スーパーで「え、こんなに高かったっけ?」と感じた方も多いのではないでしょうか。この記事では、米価高騰の本当の原因をわかりやすく、具体的な例を交えて解説していきます。
米価高騰はなぜ起きたのか?
米の価格が上昇している理由は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。主な原因は以下の4つです。
1. 異常気象による不作
▶︎ 2023年の猛暑と渇水
近年の日本では、気候変動の影響により異常気象が頻発しています。特に2023年の夏は、全国的に記録的な猛暑と渇水に見舞われました。
例えば、新潟県や秋田県などの米どころでは、稲が高温障害を受け、登熟(実の成熟)が不十分に。これにより、等級の低い米(2等米・3等米)が増加し、結果的に高品質な一等米が不足しました。
2. 生産者の高齢化と離農
米農家の平均年齢はすでに65歳を超えており、高齢化による離農が進んでいます。若い担い手が不足しているため、耕作放棄地が増え、米の生産量が年々減少しているのです。
▶︎ 具体例:山形県の農家が語る現状
ある山形県の農家は、「体力的にもう限界。後継者もいないから、来年は米作りをやめる」と話します。このような農家が全国で増えており、構造的に供給が追いつかない状況になってきています。
3. 肥料や燃料価格の高騰(コスト増)
ロシアのウクライナ侵攻など、世界的な地政学リスクにより、肥料や燃料などの生産資材の価格が急騰しています。これにより、農業経営が圧迫され、生産量を減らす農家が増加。
▶︎ JAの試算:肥料代が1.5倍に
JA全農によると、窒素系肥料の価格はコロナ前と比べて1.5倍近くに上昇。米一俵あたりの生産コストも跳ね上がっており、「売っても儲からない」との声が多数寄せられています。
4. 政府の需給調整の影響と制度変更
かつては政府が米の生産量を調整(減反政策)していましたが、2018年にその制度が廃止されました。市場原理に任せた結果、一時的な供給過多・価格低迷が起き、生産意欲がさらに低下。そのツケがいま来ているとも言えます。
また、飼料用米や加工用米への補助金制度の見直しもあり、主食用米への生産転換が進まず、需給バランスが不安定になっています。
今後の見通しと私たちにできること
▶︎ 米価はさらに上がる可能性も
気候変動や高齢化の流れが止まらない以上、今後も安定供給は難しく、米価はしばらく高止まり、あるいはさらなる上昇も想定されます。
▶︎ 消費者としてできること
- 地元産のお米を選び、生産者を応援する
- フードロスを減らし、米を無駄なく食べる
- 精米日を確認し、鮮度の高い米を選ぶ
まとめ
米の値段が高騰している原因は、「異常気象による不作」「農家の高齢化・離農」「資材コストの上昇」「制度変更による需給の不安定化」など、複数の要素が複雑に絡んでいます。これは単なる一時的な現象ではなく、構造的な課題とも言えるでしょう。
お米は日本の食文化の要です。私たち一人ひとりが背景を理解し、できることから行動することで、持続可能な米作りを支えることにつながります。